【薄桜鬼】瞳に映すはいつかの思い出 (ページ9)

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もういい加減、物語の確認は済んだし、ここから去ってもいいだろうか。
あまり長居して影響が出てしまうのも怖いし、何より私が辛くなってきた。みんなの何気ない平和な日常を見て幸せな気持ちになると同時に、命絶える瞬間も同時に浮かび上がってしまう。

女ということもあり、永倉・平助・原田の三人組を中心に外に出れない千鶴と私が楽しく過ごせるよう気遣ってくれた。巡察帰りに甘味を買ってきて、今日あった話やタメになる話など...本当にいい人ばかりだ。

どこか遠慮して堅苦しかった千鶴も少しほぐれたようだ。この調子で千鶴が新選組にとって大事な存在になっていくよう、私は千鶴を立てる動きをしていた。
これなら同性の私がいなくなったとしても、寂しさに暮れることはないだろう。では、今夜にでもここを出ていくとしようか。

『よし...荷物はできた』

逃げるには邪魔であろう笠は置いていくことにした。一応布で髪は隠しているから、暗い夜のうちにどこかで買えば問題ないだろう。
消灯され皆が寝静まった頃を見計らって、音を立てないよう部屋を出て、裏門へと向かった。

少しの間でも新選組のみんなと過ごせて幸せだった。もし、また現代に生まれてこれたなら、一生自慢出来るな、なんて...誰も信じないだろうけど

『気高く優しい皆さんが大好きです。何もできない私を許しください。たとえ何があっても、私はずっと皆さんの幸せを祈っています...』

「おい」

『！』

土方さん...

土方「こんな時間にそんな格好をしてどこへ行く」

私『見てわからないんですか？逃げるんですよ』

土方「逃げれば斬る。そう言ったはずだ」

私『そう言う割に刀抜いてないじゃないですか...斬る気あります？』

原田「Aこそ、逃げ出そうとしてるやつのする顔じゃねぇな」

私『原田さん...』