【薄桜鬼】瞳に映すはいつかの思い出 (ページ6)

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お尋ね者か...
そうだろうな。私が集落にいないことにはとっくに気づいてるはず。殿の再来として結構気に入られていたけれど、連れ戻すのか、それとも...

土方「お前の身元がはっきりとしない場合、このまま置いておくわけにも解放するわけにもいかねぇ」

私『たとえ脅されても、私の身の上話をするわけにはいかない。そちらに誰にも言えぬ秘密があるように、私にも秘密がある。それこそ、知った者は’’口封じ’’しなくてはいけない秘密が...』

異質なあの集落は知るべきではない。藤波家の血のみの世界が絶対としている閉ざされた里。楽園が脅かされようものならきっと容赦はしないはずだ。詳細を知ってしまったら、殺されてしまうかもしれない。
そんなの、絶対させない。
それに、’’新撰組’’に知られるとまずいこともある。

私『あ、言っておくが、千鶴とは知り合いではない。たまたま居合わせただけで、私の事情には全く関係ないし私も千鶴の事情には関係ない』

土方「ったく、謎が深まるばかりだな…」

私『そういうわけで、秘密を守ることには命をかけているので安心して解放してくれないか』

土方「悪いがそれは無理な相談だ」

私『はぁ...勘弁してくれ。私はあまりここに居たくない』

沖田「そう言えば君、朝に僕たちを見て泣いてたよね。あれはなんだったの？」

ここでそれを聞くの...？

私『...私にあなた方を傷付ける意思はない。誓いを立ててもいい』

むしろ助けたいと思っているのだから。戦場には私が行くからみんなは平和なところで幸せに暮らしてくれって何度思ったことか。
だけど...

私『私はいわば爆弾だ。世界に影響を与えかねないほどの爆弾...困らせて本当に申し訳ないが...解放してください、お願いします』

きっとそばにいたら助けたくなる。もし私の存在が物語に影響を与えてしまったら？藤波家が口封じをしに来たら？
私のせいで及んでしまう危険が多すぎる。

土方「...お前の処分はまた考える。とりあえず部屋から出るなよ」

そうして、私の切なる望みが叶えられることはなく最初に寝かされていた部屋で千鶴と二人、夜を明かすのであった。