二十五 ページ27
斎藤 「あんたがここを去りたいのなら、俺は止めない。だが、それまでに何か俺にできることがあれば言ってくれ。もちろん、あんたが不安にならない程度で構わない」
最大限私に気遣って声をかけてくれた。いつも長い前髪で隠れているけど、真っ直ぐこちらを見てくれているのがわかる。口数が少なくて喋るとすごく冷静で、一見冷たい人に見えるけど、実はすごく優しいんだよね。斎藤さんのこういうところが推しポイントなんだよなぁ。
斎藤 「お、おい。何故そんなに黙って見ているのだ。何か気に触るようなことを言っただろうか...」
私 『あはは、すみません。嬉しくて』
照れると可愛いところも良いよね。
なんだか心がスッと晴れた気がする。あの時は複雑な気持ちで曖昧に返したけど、今は心から素直にこう言える。
私 『ありがとうございます、斎藤さん』
やっと明るい顔を見れたことに満足したようで、斎藤さんは巡察の準備へと向かおうとした。が、何やら外が騒がしかったことに気がついた。
平助 「あ、A！って一君、ちょうどよかった！」
斎藤 「何かあったのか」
平助の話を聞くと風間さんが私を訪ねてきたそう。新選組としては風間さんは敵だけど私にとっては一応協力者だからと対応に困って、私を呼びに来たらしい。
護衛として総司と斎藤を連れて行けと土方さんは言うけど、風間さんは私を拠点で話を聞きたいそうだから、さすがになと思って断った。連れて行けという意見が他からも飛び交ったけど、斎藤さんが宥めてくれた。
私 『日が暮れるまでには帰ってきますから、大丈夫ですよ』
朝食の時とは違う、曇りのない表情をする私を見ると、皆さんは不安が残りつつも送り出してくれた。
私 『それから、昨日はすみません。冷静になれなくて、突っぱねてしまいましたね。また時間がある時に話を聞いてもらっても良いですか？』
風間さんと話して今後のことをはっきりとさせよう。そうしたら少しはどうすれば良いのかが見えてくるかもしれない。
ちゃんと向き合いたい。自分にも、新選組の皆さんとも。
薄桜鬼で見ていた皆さんじゃなくて、今私が見て話している皆さんと
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作者名：柊木 | 作成日時：2023年3月25日 1時
