【薄桜鬼】瞳に映すはいつかの思い出 (ページ1)

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昔々あるところに優しく美しい姫と強く美しい殿がいました。二人は恋に落ち、互いに愛し合っていました。周囲の者たちは二人が結ばれることに反対しましたが、やがて二人は無事に結ばれることとなりました。人里離れた一軒家で子供に恵まれ、末長く幸せに暮らしましたとさ。
なんとも年頃の乙女たちがときめきそうなありふれた物語である。しかしそこには隠された話があった......

いったいどんな神の悪戯なのか、私は前世の記憶をもったまま二人の子孫としてこの世界に生まれ落ちた。
転生したこと、前世とは時代が違うことに最初は戸惑っていたが時間が経てば慣れていた。
しかし私はあることに気がつく。凄まじい再生能力と身体能力、そして力を解放すると白い髪、黄金の瞳に変化する。これは薄桜鬼においての鬼そのものではないか。
ここは『藤波』家の鬼が暮らす里だったのだ。

私は薄桜鬼の世界に転生してしまった。

十八になる前、私はこの集落から抜け出した。あそこは倫理的にどうかしている。思い出したくもない...
私は元々古い建物や庭を見るのが好きだった。今の時代じゃ一般公開しているところは少ないかもしれないけど、街並みなど貴重な資料はいくらでもある。色んなところを周りたい。一人旅に出よう。

『そういえば...』

薄桜鬼の物語はどうなっているのだろうか。町の人から話を聞くと、そろそろ千鶴と新選組との出会いの年になるようだ。

『それなら京に行ってみようか』