見たことのない世界へ -番外編- 【歌い手】

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坂田.side




俺 渾身のクリスマスプレゼント。…を、渡したら あんまし派手に反応もせずに ネックレスをじっと見つめる彼女。

もらった言葉は、学校につけていけない…ってそれで、ペアやーって喜んでたけど 身につけられなかったら意味無いやん！とか 言われた時に思ったりして。


やっぱすべったかな、とか、
ペアとか重かったかな、とか、
そもそもデザイン気に入らんかった？とか。

今更ながらに 不安要素がぐるぐる、ぐるぐる 頭を回る。





家の近くやからーって呼んだ まふくんそらるさんうらさんは、俺らなんて目に入らないみたいに勝手に飲み始めてるし、向き合う俺らの間には会話はないし。
どうすりゃええんやろ、と クリスマス帽を被って 時期外れの格好した俺は 一人ぽつんと取り残された気分。


Aちゃん…？と 恐る恐る名前を呼んでみると、ぱっと俺の声に反応してあがる顔。
その目には、少しだけうるうると涙が浮かんでいて でも表情はすんごい優しくて、心臓がきゅんと高鳴る。







｢ 嬉しい、です…めっちゃ ｣


｢ ほ、ほんと…？ ｣


｢ ほんとに…すっっっごく！！！ ｣






そう言って、にぱっと 明るい笑顔を見せてくれたAちゃんに ほっと息をもらす。
つけてくれますか？って ネックレスを渡されるから、もちろん！と答えて 彼女の後に回る。

もし彼女と二人きりやったら、後ろから抱き締めてたんやけど。テンションに任せて みんな呼ぶんじゃなかったかなー、なんて思いながら ネックレスをつけて はい完了！とぽんと 彼女の肩を叩く。



くるりと振り向いて、似合います？って笑う彼女が可愛すぎて、すっと目を逸らして めっちゃ似合うよ、と。見てないじゃないですかー、なんて言われてるけど、多分今見たら キスとか…しちゃいそうだし。





｢ Aちゃん、さかたん もうイチャイチャすみましたー？一応僕 失恋した身なんで結構辛いんですけどー ｣


｢ 一応言っとくと俺もだからね ｣


｢ イチャイチャすんなら二人の時にやってくれ ｣


｢ あ、ごめんなさい。って、あーそれ 何食べてるんですかっ 美味しそうっ ｣





するりと俺の前からいなくなってしまいそうな彼女の腕を 掴んで、引き寄せる。不思議そうに俺を見る彼女の耳元に唇を寄せて、一言。




｢ メリークリスマス、来年もよろしくね ｣




そう言って耳に こっそりとキスを落とした。







END




リク→クリスマス
時期→空綺高校3年冬

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