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悪いことしちゃったかな、と申し訳なくなりながら なんですか?と問うと、不安そうに きゅっと私の服の裾を掴んで 上目遣いで私を見つめる。
( ____えっ、なにこの可愛いやつ… )
怒られているというか、責められている時に、こんなきゅんとなるなんて不謹慎だけれど。
さすがに可愛すぎる。
「 俺じゃ、ダメなの? 」
「 へっ!? 」
「 満足させられてへんかな、俺… 」
確かに きゅんとさせるようなこと あんましてへんし、デートにも遅れていくし、あんまオシャレじゃないしイケメンでもないし それに…!! と自分をどんどん卑下していく さかたんに、今度は私が さかたん、と諌めるような声で 名前を呼ぶ。
すると、さかたんはぴくりと肩を揺らし 不安げな表情で私を見る。
…確かに、愛情表現でいえば 夢小説の彼の方が上かもしれない。サプライズだって上手だったり、意外とオシャレな格好でスマートにエスコートしていたりも する。
でもそれは全て、誰かの虚像だ。
誰かが想像した、偽物の彼なのだ。
そんなの、本物の彼に勝てるわけがない。
「 確かに、さかたんは遅刻が多すぎます 」
「 うっ… 」
「 初デートで30分待たされるのはびっくりだったし、こうやって やること忘れて 急遽家に帰るとかも良くありますし 」
「 ご、ごめ… 」
「 世でいえば 悪い彼氏なのかもしれないです 」
「 …そ、やんね…… 」
「 でも、」
そこで 言葉を区切って、ふぅ…と息をつく。
今にも 泣き出しそうなぐらいに しょぼーんとしているさかたんの頬を私の両手でつつんで にこりと笑ってみせる。
「 私は そんなさかたんがいいって、好きだって思ったから さかたんを選んだんですよ? 」
「 …!! 」
「 私はさかたんがそばに居てくれるだけで満足なんです。…好きな人がそばにいれば、それで 」
「 Aちゃんっ 」
「 わっ 」
突然 ぎゅーーっと 強く抱きしめてくる さかたんをなんとか受け止めて、私も強く抱きしめ返すと 安心したように へへへ、と笑う。
「 俺から離れないでいてくれる? 」
「 もちろん 」
「 これからも こんなダメダメだよ? 」
「 私が支えてみせますよ 」
「 …うん 」
甘えてくるように、私の方に顔を埋めて 動かなくなる さかたん。
そんな彼が、やっぱり大好きだなと実感する。
「 …大好きだよ、Aちゃん 」
「 私も大好きですよ、さかたん 」
-fin-
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メア - END!? (2022年5月12日 16時) (レス) @page15 id: 7eca0bc8a4 (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - 紫乃@坂田家さん» 今時期 クリスマスとか書くのも遅いなーとか思いながら書いたやつですが、喜んでもらえて何よりです笑 可愛いさかたんをもっと書けるよう頑張ります! (2018年1月4日 15時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
紫乃@坂田家 - うおおおおありがとうございます!!さかたん可愛い……そして何より空綺ちゃんがもんのすごい可愛い……何なんだお前らッ!← 本当にありがとうございます!!感謝感激雨あられ!!← (2018年1月4日 10時) (レス) id: d70a2ffcc9 (このIDを非表示/違反報告)
キャンディット(プロフ) - 零生さん» いえいえ。直ってよかったです!! (2018年1月2日 17時) (レス) id: 8583ad440a (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - キャンディットさん» ご指摘ありがとうございます、直してまいりました! (2018年1月2日 15時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
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