団長は吸血鬼〜第三夜〜

溶けて消える ページ3

翌日、シルビア・ホープの簡素な葬式が行われた。参列者はハンジやリヴァイ等の個人的な彼女の友人の他にも看病をしてもらった者がほとんど葬式に来ていた。

しかし、彼女の墓は小さかった。

元々狭い壁の中には広い墓場等無く、さらには5年前から……つまり最初に結界が破られた時から異常な程人が死んでいるのだ。

墓場にはもう新しく墓を作れる余裕が無かった。

だから彼女だけではなく、違う故人達の墓も少しずつ小さくなっていた。

葬式が終わった後も調査兵団の者達は“シルビア・ホープ”と刻まれた墓石の前にたたずんでいた。

「シルビア……君ほど腕の立つ医師はそうそう調査兵団には居なかったよ。

居ても、仕事の多さからすぐ辞めてしまう医師ばかりだったけどね……

ねぇ……シルビア……なんで君は……


殺されてしまったんだろうね？

君は最後まで何を知ろうとしていたんだい？

でもそれは……この先の未来の為の研究だったんだろうね……」

ハンジの言葉は墓場に虚しく響く。

「人間もまだまだ捨てたものじゃないな……」

今まで何も言葉を発さなかったエルヴィンの言葉は彼女の生きざまを称賛する言葉だった

しかしその言葉は悲しみの空気に溶けて消えた。

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