団長は吸血鬼〜第三夜〜

獲物 ページ15

「〜〜〜！！！」

暗闇の中で色んな人が声を荒げていた

「っ！誰が好きで人なんか殺すもんか！！」

この声は……ベルトルトの声だ

この声はベルトルトの心の声だろうか……

もしかしたら私の脳が都合の良い方へ持って行こうとしているだけかもしれない

そうだよ……



ベルトルトは



私を……皆を……騙していたじゃないか……



ライナーも同罪だ





ゆっくり重い瞼を開いた

眼に飛び込んで来たのは高い位置から調査兵団の人達が私を追いかけているところだ

今だ覚醒しない脳で考える

私だけを追いかけている訳ではないだろう

エレンも居るはずだ

それにここはどこだろうか

「エルヴィン団長！！！」

その光景は私の脳を完全に覚醒させた

アイツが……エルヴィンが……


悪魔に喰われそうになっているのだ

させない……


お前等なんかに……



ソイツの命は渡さない



ソイツ(エルヴィン)は



私の獲物だ！！



「っ！これは！！？」

エルヴィンの回りを囲む結界

エルヴィンを喰おうとしていた悪魔は跡形も無く消し飛んだ


「エルヴィン団長！！！その結界は……」

「壁に張られている物と同じだ


Aか……」




(まずい！Aが目覚めた！！)




聴こえる……


これは……誰の声……？

『人なんかもう殺したくない』『誰か俺を殺してくれ』『こんな醜い姿はもうイヤだ』『故郷に帰りたい』『痛い止めて本当は……』


『人間なのに……』

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