女バレ（仮）の無表情女子【稲荷崎】 (ページ1)

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無表情女子　ⅰ ページ1

ひたすら何も言わずただ見据えている守矢に、女バレ主将の"真田凛華"が近づく。

真田「守矢、アップはどないする？」

『…軽く走った。しない』

女子とは思えない少し低めの圧のある声の守矢に、真田はニカッ笑う。

真田「ほうか！分かった！そんじゃ早速コートに入ってや！」

『ん』

先輩相手にちゃんと言葉を返さない守矢に、北が近づいて来た。

北「守矢、自分そろそろちゃんとした言葉遣い覚えた方がええで？社会に出てそんなんしとったら、どやされるで」

少しの圧とともに放たれた正論パンチに、守矢は何も言わずにただ見据える。

真田「そんなことより、早コート入ってや守矢！監督ー！誰と交代しますかー！」

二人の沈黙を破り、真田は守矢を連れて監督の元へと行き、指示を聞いたのだが…

その後に待つ…

女バレ部員全員が倒れる事態に…

男バレは驚愕することになる。

真田「よし！今日はウチと交代や！守矢ファイト！」

真田と交代でコートに入った守矢に、正セッター・"佐野香苗"からバレーボールが渡される。

佐野「守矢！宮ツインズに"目に物を見したれ"！」

『…ん』

同じコートにいた部員・"乃咲流"から放たれたその言葉に、守矢は一瞬驚いた表情をした後に、返事を返す。

『宮に…目に…物を…見せる…』

そう一人呟いた守矢は、宮兄弟に視線を向けると、タタッと近づいた。

侑「は？自分なにしとんの？」

治「今から練習試合すんやけど？」

突然の行動に驚く宮兄弟の目の前に、持っていたボールを差し出す。

『"目に物を見せろ"って言ったから』

宮「「は？？」」

そうキョトンと首を傾げた守矢に、宮兄弟も揃って首を傾げる。

「守矢ああああああああああああ！！違う！違う！！その意味じゃない！！」

『え？』

慌てて駆け寄って来た副主将・"時雨円華"に、さっきまでの張り詰めた空気はどこえやら、一気に緊張感が解けてしまった。

『なーちゃん。目に物見せろ言うとったよ？』

最初の圧のある声があって変わって、可愛らしい少女の声を発する守矢に、男バレ全員が驚きに目を見開かせる。

侑「ちょ、その声どこからだしよんの！」

『え？』

焦って声を上げた侑に、守矢は本当に最初とは全然違う驚いた少女の顔をして振り返った。

治「ちょ待って、自分、本当に守矢衣織？」

あまりの変貌のしように、収集がつかなくなっていた頃、やっと北が動く。