新たな名 ページ9
匙の吸い物を啜る大蛇の顔に、何処か哀愁を感じる。
其の容貌はふと、亡き妻と重なった。
メランコリーで儚げな雰囲気であるというのに、内に秘めた信念は烈火のように天を摩さん程に燃え盛っているのだった。
質実剛健というか何というか。佳人ではあるが、其の芯の強さはとても見た目で判断出来るものではない。
触れるだけで折れてしまいそうな華奢な体躯から、如何にしてあの力を出せるのだろうか。
きっと此奴は幼い心を復讐心で塗り潰したのだろう。
子供であるが故の執念が、力を得てして悍ましい怪物に成り果てて仕舞ったのか。
無垢で純粋な心を踏みにじられた少年は嘸哀しいであろう。
暫くして器を空にした大蛇は、馳走になったと畏まった様に言った。
そういえば、とふと思う。名は何であっただろうか、と。
「お主の名は?」
唐突な質問に、大蛇は少しきょとんとしてから
「名は無い。何とでも呼べばいいさ。」
と応えた。
「…………オロチ。」
「え?」
「オロチ。これからそう名乗れ。」
大蛇はほんの少し考え込み、敵意の欠片もなくなった柔和な笑顔でコクリと頷いた。
今日から暴れ大蛇だった日々も孤独な子供であった日々もお終い。
オロチという存在として、新たな幸せを見出してくれ。
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作者名:咲羅 | 作成日時:2018年4月28日 2時