【私的】あばれ大蛇とエンマさま (ページ26)

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次期大王の決意ページ26

じいちゃんが死んだ。
突然の事で状況の整理は追いつかず、思わずぬらりに何でだよ！と、声を限りに怒鳴っていた。八つ当たりもいいところだ。
しかしぬらりは
「心中ご察し致します。」
と、乾いた決まり文句を言い、新しく調達された丈のぴったり合う装束を纏わせ、手早に装飾具を取り付け、薄化粧を施した後一礼して部屋を後にした。
取り残された部屋には、嫌に目立つ王宮のバルコニーへの扉に続く一筋洩れた陽の光以外に、俺を導いてくれるものはなかった。
今日から俺が此の世界の王。
新しい風を受け、謁見式を催すべく広場に集められた民と街を一瞥するバルコニーへの扉を開けた。
其処で初めて見下ろした世界の混沌。
俺を受け入れ新たな王として歓迎の喝采をする者もいれば、喉が裂けんばかりの大声で罵詈雑言を浴びせる者もいた。
『小僧に王が務まるものか』と。
しかし此奴らの誰もが、どんな心持ちをしていようと王と云う存在として、救い導かなければならない存在だ。
此処で漸くじいちゃんの背負っていたものの重さを知った気がする。
一歩、また一歩と歩を進め、上手く整わない拍動を深呼吸で潰し、声を張り上げた。
「皆の者！我こそ次代を担う妖魔の王なり！」

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