家族の小休止 ページ23
昼の開放時間になって、王宮の広間には『チリンチリン』と小気味良い清涼な鈴の音が響いた。
ずっと座りっぱなしで負担が掛かっていた重たい腰を上げ、鈍った脚を少しでも動かそうと、辺りを散歩しようかと思い立つ。
歩いている途中で見かけたぬらりは何だか機嫌が悪く、其の曲がり角の先では夜行が愛想よく頭を下げた。
其の更に奥へ行くと、女中に抱かれた息子に会った。
「ちちうえ。」
「おお、元気だなぁ。我と一緒に散歩しようか。」
「うん。」
女中の腕から息子を優しい手つきで抱き上げて、再び歩き始める。
と、ふと外の新鮮な空気が肌を掠めた。
陽に当てられて仄かに暖まった常春の風は何かに我を招き入れるかの様に踊っており、藤が頭を垂れ、名も分からぬ花々の彩りを囲っている。
そして其の中央には幼い二人が戯れているのが見てとれた。
彼奴も、心を赦せる相手が出来たのかもしれんな。
未だ此方に気付いていない其の横顔が朗らかに笑っているのを見て、安心した。
息子も交ぜて貰おうか。
「楽しそうだな。」
「ああ、お陰様でな。」
オロチは少しも驚いた様なそぶりを見せず、振り向いて此方に応答した。
気付いていたのかもう慣れてしまったのかは定かではないが、何にせよ、オロチと孫が打ち解けるとは思わなかった。
「ねぇ、ぼくもいっしょにあそんでいい?」
「おう、勿論だ!」
「確か………閻魔の末の息子か。」
「うん。そうだよ。」
「じゃあ、お前にも花冠を作ってやろう。ガキは作り方をよく見てろよ。」
きゃっきゃと会話が飛び交うのを見て、此れ以上は水を差すようで悪いだろうと、忍び足で其の場を離れた。
其れでも尚、暫くの間廊下には子供達の高い声が響き渡っていた。
………これを聞けるのも此れで最後かもしれんな。
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作者名:咲羅 | 作成日時:2018年4月28日 2時