躾の時間 ページ16
「此処の問題は解るか?」
そう顔を尻目で確認すると、オロチは困ったような顔をしてふるふると首を横に振った。
まあ、人間の頃唯の百姓であったのならば、教えを請うなどと云う贅沢なことは勿論無いだろうから無理もない。
私も始めはそうだった。
いや、百姓でなくても読み書きや計算の出来る者はそうそう居ないだろう。
しかし此奴の記憶力には感服する。
たった一週間程で計算が此処まで出来ているなら上等だ。
だが何故だろう。最近此奴の言動が鼻について仕方がなかった。
今迄大王様の隣を歩くのは何時でも私の筈だった。
其れが今では、あの私が憧れた背の隣には何時だってオロチが居る。
恐らく原因は其れだろうが、己の考えの稚拙さに呆れてしまう。
「其れすら解けないのか。全く………勉強のし直しだな。」
其れは分かっている。分かっているのに何故こうも苛めて仕舞いたくなるのだろう。
むぅ、と顰めた顔が愛らしいからか。
いや。私はオロチに嫉妬しているのだ。
大王様を想う其の心はまるで、末の子に親の愛が傾いた時の長兄の淋しさのようだろう。
トントンと机を筆の先で叩きながら算術を書き綴った用紙を見つめ、そんなことを考えているとオロチは、教えられるのは癪だと言うばかりに熱心に問題を睨んでいた。
……私も嫌われているのだろうな。
混沌とした感情は靄と成って、今日も頭を取り巻いた。
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作者名:咲羅 | 作成日時:2018年4月28日 2時