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気がつくと、山の頂上よりずっと高いところで私は浮かんでいた。

昔より世界は発展したのに、村だった頃より寂れている。

暗くてあまり見えないが、あの頃の活気はなく人口も圧倒的に少ないのがわかる。


久しぶりに空を飛んでみる。私には天と書かれた布もなければ翼もない。

私は、幽霊になってしまったのかな。


しょげながら社に向かう。私が置いていった荷物がそのまま放置され、あれから日がたってないことを知る。

地面にはやはり玉が転がっており、それを桐の箱に入れて社の棚に戻す。

静寂が怖い、1人が怖い。不安で手が震える。

日は完全に暮れており、辺りは暗闇に包まれている。外にある一本の街灯が滲んで見える。ここにいると泣いてばかりだな、私。

ロボロ、と呟いてみた。




「……A!」


社の外から聞こえた愛しい声に、涙腺が壊れたかのように雫が落ちる。


『ロ、ボロ……っ』
「やーっと見つけたわ!」
『ロボロ、いないかと、』
「すまんすまん、外探しとった!」
『私、うまくいかなかったのかと、思って……!』
「ごめんな、不安やったな」
『よかった……っ』


お互い飛んできて抱き合う。空を飛んだままくるくると回る私たちは、完全に人間ではない。でもそれは、私たちが望んだ形。

あぁよかった。ほんとうによかった。


『これでずっと一緒?』
「そうやろな、嫌になっても離れられないやろ」
『……嬉しい』
「オレもや」



「Aーー!!!」


と、突然私を呼ぶ声が山に響いた。懐中電灯の光が複数見える。


「A!?どこや!?」
「Aちゃーん!」

「っA!」



社の柱に勢いよく手を着けて、こちらを懐中電灯で照らす人。グルッペンさんは目を見開いて、そして全てを悟った顔をした。


「お前は……そちら側へ行ってしまったのか」
『……ごめんなさい』

「おったんAちゃん!」
『大先生』
「なんや、どうなっとる!?」
「社の中はどうなっとるんや説明せえ!」
『コネシマさん?トントンさん?』

「……おったぞ、Aとロボロが」


グルッペンさんに続き3人も社に入ってくる。私の足が地面に着いてないのを見て、理解出来ていない顔をしている。ロボロの手を離し、4人の前に着地する。

ああ、本当に前世と顔が同じだ。


『思い出したの、全部』
「全部?」
『私が大蛇を倒したところから、みんなとお別れしたところまで、全部』



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ベルギーチョコ(プロフ) - ティッシュ一箱使い切るまで泣いてました。今までで一番泣いたと思います。本当に素晴らしい作品をありがとうございました (2021年12月13日 4時) (レス) @page30 id: a8b18d6813 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - 今まで読んだ作品の中で一番綺麗な世界観と文章でした。もっと早く出会いたかった…こんなに素敵な作品をありがとうございます。 (2021年6月17日 19時) (レス) id: 325d54ee5c (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - bloomさん» はじめまして、最後まで読んでいただけて嬉しいです。そう言っていただけて、同じ文字書きとしてとても嬉しいです、こちらこそコメントありがとうございました! (2021年3月26日 5時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
bloom(プロフ) - 素敵な作品に出会えました。この作品に感化されて私も話を書いてみようと思えました。ありがとうございます! (2021年3月26日 0時) (レス) id: 8bbe5d5c73 (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - あるかさん» コメントありがとうございます!確かに少なめですね、見つけていただいてありがとうございます。後書きまで読んでいただけたのでしょうか、感謝です。幸せなラストだと仰っていただけて嬉しいです、これからも頑張ります! (2020年3月30日 16時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すこ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home  
作成日時:2020年2月2日 8時

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