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確かに片足を空中に投げ出したはずなのに、今はまた両足が地面についている。動くことすら許されない緊張感。初めて見た、ロボロの本気で怒った顔。


「何してんねん。アホちゃう?」
『……私、もう充分だよ』
「何が充分やねん、そんな、オレが身代わりになった意味無くなるやん」
『楽しかったよ、色んなことを経験出来た』
「じゃあええやん、そのまま楽しく暮らしたら」


握られた腕に力がこもる。痛い。ロボロの気持ちが痛いほど伝わってくる。それでも譲れない事だってあるよ。


『ロボロが好き』
「……おん、オレもAが大好きや」
『幸せになって欲しい』
「オレも、Aに幸せになって欲しい」
『私のことなんてどうでもいいよ……もう充分だよ、次はロボロの番』
「オレのことなんて気にせんでええわ」


捕まれた手が離れ、今度は手を繋がれる。指と指を絡ませて、簡単には離れないように。もう片方の手で抱き寄せられ、耳にキスをされる。

甘いため息が耳をくすぐり、顔に熱が集まる。こんな時でもドキドキしてしまう、私どれだけロボロが好きなの。

耳元で私の名前をつぶやくと、ロボロは天と書かれた布を崖から捨てた。


「……じゃあ、一緒に落ちようか」




普通の人なら恐怖してしまうその言葉。
腕から逃げて家へ走り出すかもしれない。

でも私には、とても甘く。


『……うん』


抱き締め返して返事をした。


「……オレのこと、置いてくなんて許さへん」
『うん、ずっと一緒』


頭のなかで考えていた事は全部吹き飛んだ。今はただ、ロボロと一緒にいたい、それだけ。

ずっとずっと一緒にいたい。気が遠くなるほど長い時を二人で。あまり人の来ないあの社で。たまに喧嘩しながら、毎日笑い合いながら暮らしたい。

お互い抱き締め合いながら、私たちは空中に倒れこんだ。

お願い、どうか。私たちの願いを叶えて。



体が地面に衝突する痛みも、意識が遠退く怖さも、ロボロが抱き締め続けてくれてるから大丈夫。

私は幸せなまま眠りについた。






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ベルギーチョコ(プロフ) - ティッシュ一箱使い切るまで泣いてました。今までで一番泣いたと思います。本当に素晴らしい作品をありがとうございました (2021年12月13日 4時) (レス) @page30 id: a8b18d6813 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - 今まで読んだ作品の中で一番綺麗な世界観と文章でした。もっと早く出会いたかった…こんなに素敵な作品をありがとうございます。 (2021年6月17日 19時) (レス) id: 325d54ee5c (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - bloomさん» はじめまして、最後まで読んでいただけて嬉しいです。そう言っていただけて、同じ文字書きとしてとても嬉しいです、こちらこそコメントありがとうございました! (2021年3月26日 5時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)
bloom(プロフ) - 素敵な作品に出会えました。この作品に感化されて私も話を書いてみようと思えました。ありがとうございます! (2021年3月26日 0時) (レス) id: 8bbe5d5c73 (このIDを非表示/違反報告)
人妻すここ(プロフ) - あるかさん» コメントありがとうございます!確かに少なめですね、見つけていただいてありがとうございます。後書きまで読んでいただけたのでしょうか、感謝です。幸せなラストだと仰っていただけて嬉しいです、これからも頑張ります! (2020年3月30日 16時) (レス) id: 89365ba13c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すこ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home  
作成日時:2020年2月2日 8時

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