跡部が出会ったのは氷の力を持つ妖狐男主 (ページ9)

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九尾ページ9

貴「…ん」

目を閉じていてもわかる光に俺は目を少しずつ開いた

視線の先では薄手のカーテンから光が透き通っていた

しばらくぼーっとしていたが、ふと背後の気配に寝返りを打つと
目の前に跡部の寝顔があった

そうか、俺昨日こいつと…

思い出すと腰に痛みが走り喉にも少し痛みを感じた
確かに、苦しさは無かったが…

あぁ、もうこの話はやめよう!
そう言えば母さん、一番最初の変異って言ってたけど、変異ってどんな感じなんだろ

そう思い、部屋の大きな鏡まで歩いていく
今は普通の妖孤の姿。

試しに人間に化ける感覚で力を抜く。そして、頭の中で変異のことを思い浮かべると
風の渦が俺を包み、弾けた。

鏡に映った自分を見て俺は驚いた。

貴「九尾…」

俺の尻尾が一本から九本に増えていた。
髪の毛も伸び、下の方で結われているし、目線もいつもより高い。

体に力があふれてくる…

俺は嬉しかった、母さんは確かに九尾だが俺はそんなに強くないと思っていたから九尾になれるなんて思ってなかった。

すると、一瞬胸が熱くなった。
だが、すぐに収まった。

なんなんだ?

そう思いながら、ベットの方を向くと跡部が起きていてこちらを見ていた

跡「綺麗だな…」

貴「え…」

跡部がベットから腰を上げながらつぶやいた言葉は俺に向けられていたが俺の何を見て…

跡「変異前は可愛いのに、今は、綺麗だ…」

俺のもとまで来た跡部は俺の頬に手を添えた
そして抱きしめた

俺は、少し下になった跡部の頭を見ながら色々考えたが
とりあえず抱きしめ返した

跡「昨日は可愛かったな」

貴「なっ!?てか、さっきから妖怪に向かって可愛いとか、綺麗とかおかしいだろ」

跡「ホントのことを言ってるだけだ。体は平気なのか?」

貴「…一応回復能力は高いからな。もう何ともねぇ」

すると、跡部の手が俺の尻尾に触れた

跡「お前は九尾なんだな」

貴「俺も初めて知った。妖孤は力の強さで尻尾の数が変わる。
俺はいつまでたっても一つだったから、周りからバカにされていたが母さんが「お前は強いんだから自信持ちなさい」って言われて。今まで過ごしてきた。
今思えば、母さんも九尾だから俺と同じ経験してたから、俺にあぁやって言ってたんだろうな」

俺が懐かしみながら言うと跡部の腕に力がこもった
慰めてくれているかと思ったが口にはせず、その温度を感じていた…