445、雨が止んだ ページ49
「俺たちがそんなお前に、どれだけ元気を貰ってきたか知らないだろ？」
……そうなの？
「だからさ、自分を嫌いだなんて思うなよ。誰に何を言われたのかは知らないけど」
「！」
気づいてたんだ。この人は。
だから、いきなり私の良いところなんて挙げてくれたんだ。
こういう元気付け方は氷浦らしい、と、つい笑いそうになった。
「…なんて、俺が言えたことじゃないよな。俺だってお前を傷つけたんだから…」
……あ、この流れは。
「俺はもう、感情に任せて誰かを傷つけるようなことを言ったりしないよ。だから、あの日言ったことは気にしないで欲しい…」
「す、ストップストップ」
また謝り倒される。そう感じ取り、必死に止めようとした。
「いや、これは俺への戒めでもあるから。…本当に、ごめん」
氷浦は、最後に深く頭を下げた。
「………」
圧倒されながらも、Aは氷浦の肩に手を置いた。
「もう良いって。お願いだからもう気にしないで、いいね？」
氷浦からは大きく後悔と反省の意が伝わってきた。私にはああ言っておいて、氷浦も自分を責めてる。
そんな優しい氷浦を救う方法は、私が許しの言葉をかけることだろう。
「A……ありがとう」
この時氷浦は、救われた顔をした。
Aも、心底安堵した。
実際、こんなに弱気な氷浦を見るのは珍しい。
誰しも間違いはあるもの、とはよく言ったものだ。もしかすると、私達はそうやって強くなっていくのかもしれない。
「ありがとうを言うのは、こちらの方だって」
自分と誰かじゃ、こんなにも視点が違うなんて知らなかった。
ちゃんと、良いところも含めて見ていてくれる人はいるんだな。
こういう時、仲間の存在というものは本当に偉大だ。さっきまでは一人で押しつぶされそうな気がしてたのに。
さっきまで自分のことが嫌いになりそうだったのが、今ではスッと楽になった。
「…あ、雨が止んだ」
急に雨音が聞こえなくなり、窓を見ると、先程までの土砂降りが嘘のように収まっていた。
Aの晴れやかな気分を映し出しているように。
「……うん、やっぱり私…」
＿＿氷浦と仲良くなれて良かった。
そう伝えたら、氷浦は涙ぐんでいた。
(少しは伝わったよな。Aを大切に思ってるってこと)
氷浦の顔からも、すっかり曇りは消えていた。
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紅葉 - あああさん» コメントありがとうございます！更新及び返信が遅くなり大変申し訳ございません。亀更新になるとは思いますがこれからも頑張ります！ (2020年3月3日 3時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 何度も読み返ししてます！！紅葉さんの作る話が面白くてすごく続きが気になります！このシリーズが好きで毎日チェックしてます笑ヒロトが特に好きなので出てくる度にうぉぉおってなります更新いつまでも待ってます！！無理せず更新頑張ってください！応援してます (2020年2月11日 20時) (レス) id: de8812076d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年12月4日 0時
