440、御守り ページ44
＿＿これを君に。
ベルナルドが髪飾りを贈ってくれたのは、何の前触れもなく、突然にだった。
『街に出た時に見つけた。君に似合うと思ってね。受け取って欲しい』
『え、でも…』
突然のことに、Aは幼いながらも戸惑いを隠せなかった。
『俺はずっと君のそばにいられるわけじゃない。これからも会えない日が続くと思う』
それはAも重々承知していた。仕事が忙しい人だということは。
だからこそ、会えない日は寂しさで涙が出る日もあるし、会えた日は元気が出る。
『まあ、御守りのようなものだ。これがあれば、俺はいつでも君と一緒にいる。そう思ってくれて構わない』
そう言って、それをAの小さな手の平に乗せてくれた。
『…良いの？』
『ああ。君の元にあればこれも喜ぶ』
『ありがとう…大事にする！』
ロシアにいた時の思い出の品はその髪飾り一つだけだ。それでも、あれがあったから、いつでも元気をもらってた。
感謝してもしきれない。
なのに。
＿＿＿＿これから、どんな気持ちで持っていればいいんですか
自分の言ったことに酷く後悔した。
意地なんて張らなきゃ良かった。
突き放したりしなければ。
諦めなければ。
もっともっと、自分の想いを伝えていれば。
Aの目から涙が溢れ、地面に落ちていく。
やっぱり私、諦めたくないんだな。
「…見つけなきゃ」
再び手を動かし、ひたすら探し続けた。
私はどんなに濡れても良いから、お願いだから見つかって欲しい。
傘もささず雨に打たれるA。流石に見ていられなくなったフロイは、Aの元に駆け寄ろうとした。
だが、それよりも先にAの元に足を運んだ人物がいた。その姿を見て、フロイは目を丸くした。
相手が忘れても、私は覚えてる。
今はそれで良い。今は分かり合えなくても、いつか分かり合えれば、それで。
ただ…
(ああもう雨が鬱陶しい…！)
その時。
「？」
突然体に雨粒が当たる感覚がなくなった。
上を向くと、ベルナルドが傘をこちらに向けて立っていた。
「……風邪を引きたいのか」
「…！」
もう片方の手には自分の傘。それに、あの髪飾り。
落ちた場所を把握していた上で、先に拾っていたらしい。
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紅葉 - あああさん» コメントありがとうございます！更新及び返信が遅くなり大変申し訳ございません。亀更新になるとは思いますがこれからも頑張ります！ (2020年3月3日 3時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 何度も読み返ししてます！！紅葉さんの作る話が面白くてすごく続きが気になります！このシリーズが好きで毎日チェックしてます笑ヒロトが特に好きなので出てくる度にうぉぉおってなります更新いつまでも待ってます！！無理せず更新頑張ってください！応援してます (2020年2月11日 20時) (レス) id: de8812076d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年12月4日 0時
