434、今夜は荒れそうですね ページ38
『君も観たんだね。今の会見』
「どうしよう、せっかく明日人たちが証拠をつかもうとしてくれてたのに、このままじゃまたもみ消されちゃう」
今の会見により、明日人達の潜入の意味もなくなってしまった。
このままじっとしていれば、明日人たちの頑張りが、フランスチームの気持ちが全て……
『落ち着いて』
「！……ごめん」
フロイの宥めるような声に、冷静にならざるを得なかった。
『兄さんのことはこっちに任せてよ。Aは心配しないで。今は自分のことだけ考えるように。倒れた後なんだから』
「……うん」
その会話を最後に、通話を終えた。
そう言われれば、そうさせてもらうしかない。
廊下に小さく雷鳴が響き、水神矢は窓から空を見上げる。
「灰崎たち、降り出す前に帰って来ればいいが…」
天気予報では晴れと出ていたはずなのに、大きな雨雲。今外に出ている誰も傘は持っていないだろう。
「雲行きが怪しくなって来ましたねえ」
「監督？」
水神矢の背後に、趙金雲の声がかかった。いつもの彼らしからぬ不穏な声色だったので、水神矢は顔を顰めた。
「……今夜は荒れそうですね」
趙金雲も水神矢同様、空を見つめながら険しい顔をしていた。
今現在、医務室はもぬけの殻だということは、誰も知らない。趙金雲を除いては。
広がっていく雨雲の下、Aはひたすら足を前に進める。
オリオンは、一枚も二枚も上手。
権力を持った大人の力は恐ろしいものだと、つくづくこの大会で思い知らされる。
それでも、行かないといけない気がした。
今更知らんふりなんてできない。
「……そうだ」
一旦足を止め、携帯を取り出した。
相手だって暇じゃない。いきなり行ったところで私を相手になんてしてくれないと思う。
深呼吸を何度か繰り返して、登録者リストの中からある番号を選び、耳に当てる。
画面に表示されているのは、今まで一度も押すことのなかった相手の番号。
ガチャリと音が聞こえ、どきりとした。出てくれないことも覚悟していたからだ。
『………』
相手は何も言わない。
「もしもし…Aです。突然すみません」
電話越しからでも感じる無言の圧力に怯むことなく、告げる。
「話したいことがあります」
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紅葉 - あああさん» コメントありがとうございます！更新及び返信が遅くなり大変申し訳ございません。亀更新になるとは思いますがこれからも頑張ります！ (2020年3月3日 3時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 何度も読み返ししてます！！紅葉さんの作る話が面白くてすごく続きが気になります！このシリーズが好きで毎日チェックしてます笑ヒロトが特に好きなので出てくる度にうぉぉおってなります更新いつまでも待ってます！！無理せず更新頑張ってください！応援してます (2020年2月11日 20時) (レス) id: de8812076d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年12月4日 0時
