432、ショック ページ36
当然試合は急遽中止となった。
今か今かと待ち構えていた試合があっけなく無くなり、ジャパンはスタジアムのロッカールームで憤りを覚えていた。
これがオリオンの差し金であることは目に見えていたからだ。
フランス代表は今、全員が入院を余儀なくされているという。彼らの気持ちを考えれば余計に胸が痛む。
どうして、こんなことまで…
「……？」
頭に血がのぼりすぎたせいか、視界がぐにゃりと曲がった。
「A！？」
明日人の声が聞こえたのを最後に、Aは意識を手放した。
気がついた時には、宿舎の医務室のベッドで横になっていた。
「A、大丈夫？」
周りには、明日人、灰崎、野崎…それから氷浦の姿。
「もう平気。寝たらスッキリした」
「良かったー。でもまだ休んでろよ」
「急にぶっ倒れるから何事かと言ったぜ」
「ごめんごめん」
「謝ることはないよ」と、優しい声をかける野坂。Aが倒れた原因がショックにもあるということは、察していたようだ。
「僕たちも、流石に今回のことを野放しにしておくことはできない。だから、今から行動すると決めた」
それを言う野坂は闘志に燃えているように見えた。
「行動って？」
やたら自信がありそうなので、何か策はあるのだろう。だが、その「策」が読めない。
「…Aは心配しないで、待ってて」
そう言ったのは氷浦だった。
この人から名前を呼んでもらえたのは久々だった。それどころか、顔を合わせたのも随分と久しぶりだ。
「それじゃあ、ゆっくりしてろよ」
起きたばかりのAに邪魔はしまいと、明日人、そして灰崎と野坂も部屋を後にした。
なぜか氷浦だけ、その場から動こうとしない。
＿＿＿俺はお前のこと、友達だなんて思ってない
ああ言われたのが最後だった。氷浦との会話は。
気まずい。
「…A」
何を言われるのか、少し身構えてしまう。
「…ごめんな」
「え」
「この前は酷いこと言って、ごめん」
静かに、何度もごめんを繰り返す。
氷浦も、あの時のことを気にしていたと見える。私が倒れたことで、罪悪感を感じたのだろうか。
Aがいいよと言うよりも早く、明日人の氷浦を呼ぶ声が聞こえた。
「……ごめん。行ってくる」
「…うん、気をつけて」
氷浦はまだ不服そうな顔をして明日人たちの元へ向かった。
だがAは心の中で明日人にナイスタイミングと呟いた。
このまま二人きりだったら、きっと氷浦は謝り倒していたと思うから。
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紅葉 - あああさん» コメントありがとうございます！更新及び返信が遅くなり大変申し訳ございません。亀更新になるとは思いますがこれからも頑張ります！ (2020年3月3日 3時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 何度も読み返ししてます！！紅葉さんの作る話が面白くてすごく続きが気になります！このシリーズが好きで毎日チェックしてます笑ヒロトが特に好きなので出てくる度にうぉぉおってなります更新いつまでも待ってます！！無理せず更新頑張ってください！応援してます (2020年2月11日 20時) (レス) id: de8812076d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年12月4日 0時
