426、強さが欲しい ページ30
明日人やフロイからはもう一つ真実を聞いた。
オリオン財団は、かつて希望の象徴だったと。
それこそ、誰もが心の底から笑顔になれる世の中を作ろうとしている、そんな組織だったらしい。
それを聞いた時、Aは強く納得した。
昔のベルナルドが、今のオリオンのやり方を肯定するとは考え難かったから。
だとしたら、やはり彼は「何か」がきっかけで変わってしまったということか。
その「何か」が明らかにならないことにはどうしようもない。
(それに、たとえ明らかになったとしても、私に何ができる？)
誰かの為に自分に何ができるのかだとか、そういうことが分からなくなっている。
「奇跡の天使」の名が廃る。
……それにしても。
「つくし先輩が私の異名をつけてくれた由来とかって何なんですか？」
「えっ、もしかしてずっとそれ考えてたから元気なかったの？」
「いえ！それはまた別なんです。ただ…」
ずっと「奇跡の天使」について気になってはいた。
そもそもはどんな異名付けるか悩んでた私につくし先輩がくれたものだ。
けどこう言っては何だが、壮大でありシンプルであり、どこか考えるのを放棄したかのようなものだ。センス的にも、つくし先輩らしくない気がしていた。
すると、彼女はしばらく考え込むそぶりを見せて、口を開いた。
「…実は私じゃないんだ。Aちゃんの異名を考えたの」
「えっ！そうなんですか！？」
「ごめんね、今まで黙ってて」
じゃあ、誰が？
その人は、どういうつもりで。
(…いや、どうしてもこうしてもない)
私があの異名にふさわしいような人間だったら何の問題もない話だ。
そうすれば変に目をつけられることも、期待を裏切ることもなくて済んだ。
せめて、誰かを癒せるような、そんな天使みたいな力でもあれば良かったのに。
(そんな強さが欲しい…)
翌朝、目覚ましの音で飛び起きる。
カーテンを開け顔を洗った後、いつも通り髪飾りをつける。
食堂へ向かっていると、廊下の壁に明日人がもたれかかっているのを見つけた。
「あ、A！おはよ！」
明日人もAの姿を見つけると、すぐに体を壁から離した。ずっとAを待っていたようだ。
「おはよう、どうした？」
「少し話しておきたいことがあって」
いつになく真剣な声色、真剣な表情。思わずAも背筋が伸びる。
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紅葉 - あああさん» コメントありがとうございます！更新及び返信が遅くなり大変申し訳ございません。亀更新になるとは思いますがこれからも頑張ります！ (2020年3月3日 3時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 何度も読み返ししてます！！紅葉さんの作る話が面白くてすごく続きが気になります！このシリーズが好きで毎日チェックしてます笑ヒロトが特に好きなので出てくる度にうぉぉおってなります更新いつまでも待ってます！！無理せず更新頑張ってください！応援してます (2020年2月11日 20時) (レス) id: de8812076d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年12月4日 0時
