419、優しいまま ページ23
「誰もフロイが嘘ついたなんて思ってないよ」
フロイが本当にオリオンを認めていないということは、よく伝わった。
「それに、フロイが優しいってことはよく分かってるつもりだし…」
その証拠に、フロイは私の怪我のことなど、ずっと心配してくれていた。たまに一言多いだけで、昔から優しいままだ。
そんなフロイを恨むなんてできやしない。
「そういうことを面と向かって言われると照れるな。でも、ありがとう」
フロイの表情が僅かばかりほころんだようで安心した。だがそれもつかの間のこと。
「…あと、もう一つ謝りたいことが」
「もう、さっきから謝ってばかり」
かく言う私も今日の試合でアツヤから同じこと言われたんだけど。
「いや、僕が大勢の前で婚約者なんて言ったから、困らせてしまったよね。ずっと悪かったなって思ってたんだ」
「！」
ああ、ようやく聞けるんだ。その真実を。
「あれは…本当に嘘なの？」
以前フロイと会った際に、婚約の話は嘘だったと告げられたばかりなのだ。
Aの問いに対し嘘かどうかは答えることなく、フロイは言葉を並べる。
「覚えてる？空港で再会した時。Aにたくさん仲間ができているのを見て驚いたよ。だから僕もびっくりさせてやろうと思って」
「びっくりさせてやろうって…みんな本当に本気にしてたんだから！」
その話が広がって、取り返しのつかないことになったらどうするつもりだったんだ？
「でもまあ…何はともあれ良かった、ほんと」
「え？」
婚約宣言の後、しばらく周りからの質問攻めが大変だった。Aはそれについて怒るよりも、まず安堵の溜息をついた。
「もし本当に私たちが婚約してたら、私はともかく、フロイは行動が制限されてたと思うの」
「どういうこと？」
「婚約者がいることで自由に好きな人とか彼女を作ることができなかったんじゃないかってこと」
たとえ他に好きな人がいたとしても、フロイは昔の約束を無かったことにはしないだろう。
昔からやると決めたことは必ずやる人だったから。
でも婚約が元から無い話なら、そんな心配もいらなかったということだ。
「そんなこと気にしてくれてたんだ…」
Aがそこまで考えていたことが意外だったのか、フロイは目を丸くした。
「昔からそうだけど、君って変なところで真面目だよね」
「私はいつも真面目ですけどね」
フロイはひとしきり笑い終えると、昔のことを話し始めた。
「……ちゃんと話すよ。本当のこと全て」
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紅葉 - あああさん» コメントありがとうございます！更新及び返信が遅くなり大変申し訳ございません。亀更新になるとは思いますがこれからも頑張ります！ (2020年3月3日 3時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 何度も読み返ししてます！！紅葉さんの作る話が面白くてすごく続きが気になります！このシリーズが好きで毎日チェックしてます笑ヒロトが特に好きなので出てくる度にうぉぉおってなります更新いつまでも待ってます！！無理せず更新頑張ってください！応援してます (2020年2月11日 20時) (レス) id: de8812076d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年12月4日 0時
