408、知り合い ページ12
「西村さん、大丈夫だったかい？」
3人でグラウンドに続く通路を歩きながら、新条がそう口を開いた。
大丈夫だったかという問いに関しては、恐らく「あの事件」について言っているのだろう。
「はい、あの…、その節はありがとうございました！おかげで助かりました」
足を止め、新条に向けて頭を下げる。
新条がAのことも明日人のことも救うように企てたと聞いた。
今まで少しでも良い人なのか疑いの目を向けていたことをお詫びしたい。
「そうか。無事で良かった」
「えっ？A、何かあったの？」
Aの隣では新条との会話を聞いていた明日人が置いてけぼりにされていた。
私と明日人は拉致された者同士です。とは言えず。
「ベルナルド様と、色々あって辛かっただろう」
と新条。
唐突にその名前を耳にしてどきりとした。
「確か君とベルナルド様は君が幼い頃からの知り合いだね。それがこんな形で再会することになるとは…」
……どうして知ってるの？
Aがそう問うよりも先に、明日人が首を傾げていた。
「……ん？ん？つまり…」
先程から会話に上手く着いて行けていない明日人が話をまとめようとする。
「オリオン財団の理事長と知り合いってこと？」
そのことはあまりメンバーにも言ったことなかった。
「……昔、色々お世話になったことがあって。今まで黙っててごめん」
「ううん、謝らなくて良いんだけど……そっか、そうだったんだ」
明日人も今のベルナルドの人となりについては知っているらしい。その上で、そんな自分の想像している彼とは違ったAの話に困惑しているようだった。
「Aは島に引っ越してくる前ロシアに住んでたことがあったんだよね。その時に？」
「そう」
「昔は優しかったけど、今は違うってこと？」
明日人もベルナルドのことをそういう人だと思い込んでいる。当然だが、明日人達は彼の優しかった部分を知らない。何故かそれが非常に悲しい。
「…あの、私…」
「？」
「ベルナルドさんのこと、どうしても悪い人には思えないというか……いや、思いたくないって言った方が正しいのかな…」
煮え切らない言い方。
あんなことになってもなお、まだこんなことを考えていたなんて。
…ああほら、二人もキョトンとしちゃってる。
「ごめん、おかしなこと言って…」
言いかけると、新条はAの肩に優しく手を置いた。
「君がそう思うのなら、そうなのかもしれないな」
真っ直ぐAの目を見て言う。優しい目だ。
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紅葉 - あああさん» コメントありがとうございます！更新及び返信が遅くなり大変申し訳ございません。亀更新になるとは思いますがこれからも頑張ります！ (2020年3月3日 3時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 何度も読み返ししてます！！紅葉さんの作る話が面白くてすごく続きが気になります！このシリーズが好きで毎日チェックしてます笑ヒロトが特に好きなので出てくる度にうぉぉおってなります更新いつまでも待ってます！！無理せず更新頑張ってください！応援してます (2020年2月11日 20時) (レス) id: de8812076d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年12月4日 0時
