411、それに比べて ページ15
マリクが本当のサッカーをすると決めてくれた今、もう何も心配はいらないだろう。
「それじゃあ、俺たちはこれで」
明日人がふと観客席に目線を移したので、自分もそちらを見上げると、こちらをじっと見守っている新条さんの姿が見えた。
いけない、待たせてたんだ。
「そうだ、早くみんなに知らせとかなきゃね。明日人は無事帰って来ますって…」
宿舎にいるメンバーに明日人の無事を知らせるべく携帯を取り出す。だが画面は真っ暗なまま。
「げ！充電切れ！」
「ええっ！？」
「本当に君はドジというか何というか…」
フロイからも呆れ顔をされ、一刻も早く宿舎に戻ることを決めた。
「またねフロイ、マリクくん」
「うん、また！」
「あ……」
出口に向かおうとする際、フロイだけは煮え切らない返事をしたので、咄嗟に振り向く。
「どうかした？フロイ」
「……いや、何でもない。またね」
「…そう？じゃあ、また」
「あ、監督に買い物頼まれてたんだった。やっぱり明日人は先帰ってて」
新条さんの元に戻ると、二人一緒に車で送ると言ってくれた。だがAはやることがあるのを思い出し、それを断った。
趙金雲からおつかいを頼まれた店はここから近い。彼は単にAがここまで来れる理由を作ってくれたんだと思う。
それでも感謝の意として頼まれたものを買って行くべきだろう。
「一緒に行こうか？」
「買い物が終わるまで待っているよ」
二人はそう言ってくれたけど。
「いや、明日人は早くみんなのとこ戻ってあげてよ。みんなすごい心配してたんだから。私は一人で帰れるからさ。新条さん、お願いします」
「そっか。分かった！Aも早く帰って来いよ！」
明日人は一足先にみんなの元へ帰って行った。
予想通り店には人がたくさんいて、目当ての物を買うのに少しだけ時間がかかった。だから明日人には先に帰ってもらっといて良かった。
それでも無事買い物を済ませ、一人で帰路につく。
宿舎まであと数キロといった頃には、外は日が沈んできていた。
「………」
オレンジ色の夕陽に照らされながら、今さっきの出来事について考えていた。
誰かの人生を左右してしまうかもしれないので無責任なことは言えない。そんな状況の中で、フロイのあの言葉。
オリオンを「倒す」でもなく「救う」。
確かに、その方が良い響きだ。
やっぱりフロイはすごい。考え方が大人だ。それに比べて…
(私、今日何しに行ったんだ？)
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紅葉 - あああさん» コメントありがとうございます！更新及び返信が遅くなり大変申し訳ございません。亀更新になるとは思いますがこれからも頑張ります！ (2020年3月3日 3時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 何度も読み返ししてます！！紅葉さんの作る話が面白くてすごく続きが気になります！このシリーズが好きで毎日チェックしてます笑ヒロトが特に好きなので出てくる度にうぉぉおってなります更新いつまでも待ってます！！無理せず更新頑張ってください！応援してます (2020年2月11日 20時) (レス) id: de8812076d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年12月4日 0時
