356、口外しないよう ページ10
「ここまででいいの？」
ここまで来れば宿舎までの道が分かるというところで、少年とAは立ち止まる。
「うん。もう大丈夫。助かったよ」
少しの間一緒に行動をして、Aもようやく少年に心を開けてきた。
「じゃあ僕も帰るけど…ああ、そうだ」
ふと、何かを思い出したような少年。
「最後に…君にはもう一つ伝えておく。でも、これから話すことは口外しないようお願いしたいんだ」
「？」
少年は元から感情をあまり表に出す人ではないようだが、より真面目なトーンで真面目な顔つきになったように感じた。
そして、少年からある事実をそっと耳打ちで伝えられた。
「えっ…それ、本当なの？」
「良い？このことは絶対に内緒にして」
Aに驚く暇を与えず、少年は釘を刺してくる。
「で…でもどうして？」
「どうしても。…守ってもらえる？」
「わ、分かった…」
「ありがとう。それじゃ、僕はこれで」
少年はそれだけ言い残して、踵を返して去っていく。
「あ…今日は本当にありがとう！！」
少年の背中に大きな声で投げかける。少年は背を向けて歩きながらひらひらと、こちらに手を振った。
「不思議な人だったなぁ…」
すぐに現れすぐに去っていくヒーローの登場にしばらく呆然としていたが、先程少年から伝えられた話がふと頭を巡る。あの話が嘘か本当かまだ分からないが。
ただ、今はあの少年が言っていたことが本当だと祈るしかないようだ。
「…ヒーローを信じよう、うん」
子供の頃から憧れていた存在である正義の味方の言うことは信じるべきだと、自分の中で解決させる。
「ヤバっ、帰らないと…！」
と、すぐに我に返って宿舎へ走った。
帰ったら怒られるだろうなぁ…と想像して緊張するが。
コソコソと静かに、宿舎の中へ入る。
誰もいないことを確認しては壁の裏へ隠れ、そこから顔を覗かせては誰もいないか確認しながら、前へ前へと廊下を進んでいく。
こんな風に隠れてもメンバーにはいずれ顔を合わせて謝罪しなければいけない。だがまだ色々と心の準備ができてないのだ。
(みんなの前でいつも通り振る舞えるかどうか…)
先程までの出来事がばれて誰かに心配をかけるようなことは避けたい。顔に出やすいってよく言われるからね…私は。
と。その時。
「Aさん、今お帰りですか？」
背後から聞こえてくる声に、ギクッ！という効果音が聞こえそうなくらいAは大きく肩を上げた。
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか？なぜですか？ (2020年3月25日 22時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます！最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます！1番ですか！？とても嬉しいです！ありがとうございます！！更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています！ (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月29日 21時
