395、人生最大に最悪だったあの日 ページ49
そして、「彼自身」は一体何を望んでいるんだろうか。
「……あのさ、ルースくん」
「ん？」
「あの日…私達不自然なくらいあっさり抜け出せたと思わなかった？」
セキュリティは万全なはずのオリオン財団本部。普通Aのような脱走者がいれば追いかけ回されそうなものだ。だが結果その心配は全く無かった。
「ああ、SPに見つかった時の対処法も全く必要なかったね。不幸中の幸いだったよ」
「…やっぱ、そうだよね…」
もしかして…
「……態と…私達を逃してくれた人がいたとか…」
呟きながらベルナルドのいたVIPルームを見上げる。だがそこにはもう彼の姿はなかった。
今口にしたことは単なる憶測に過ぎない。けど、万が一にもあり得ないとも言えない気がする。
「それはないよ。あの建物の中にそんなお人好しな奴いるわけない」
そんな憶測もルースがばっさり切り捨てる。本来こういう反応が普通だろう、けど…
「何でそう思った？」
「………」
ルースから問われる。
率直に答えれば、彼にまだ希望を持っているからだ。
それを言うと今度こそルースにまで「君って馬鹿？」などと言われてしまいそうだが。
「……あんなに簡単に出られたのが、本当にただラッキーだっただけなのか…ずっと引っかかってて」
ベルナルドさんは遺漏のない人だ。私達を捕らえさせることだってできたはずなのに。
仮に…あの人がわざと私達を逃がしたのだとしたら、どうしてそんなことを？
思い返してみればあの時彼の様子が変わったのも、Aが恐怖のあまり涙を流してからだった。
＿＿＿Aは本当に泣き虫だな。君に涙は似合わないというのに。
昔、そう言って泣き虫だったAの涙を拭ってくれるベルナルドの姿がふと脳裏をよぎった。
(まさか………いや、でも…)
今度はAにとって人生最大に最悪だったあの日、彼から言われた言葉が反芻した。
＿＿＿お前が使徒になれば、私たちはずっと一緒にいられるんだ。片時も離さず、お前をそばに置いておくことができる。
そこから分かることは、決してあの人は私を傷つけるつもりで拉致したわけではないということ。
(私が泣いた時も、あんな反応だったし…じゃあやっぱり、わざと私達を…？)
「…A？」
悶々としているとルースから心配されてしまったので、「何でもない」と首を横に振った。
「……ところで、「見つかった時の対処法」って？」
「護身術。試してみる？」
「遠慮しとく」
「冗談だよ」
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか？なぜですか？ (2020年3月25日 22時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます！最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます！1番ですか！？とても嬉しいです！ありがとうございます！！更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています！ (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月29日 21時
