394、マリク・クアベル ページ48
「え？前に一度会っただけ？」
「つい最近、ちょっとね」
マリクはAとルースの関係性に不思議そうな顔をしていた。
「それで…たった一回会っただけの間に何があったの？」
「まあ…その、色々あって…」
「Aがオリオンに拉致された。だから僕はAの救出の手助けをしただけさ」
「ちょ…」
Aが言葉を濁そうとしても、ルースがサラリと喋ってしまった。
「え…？拉致って…」
ルースから出た真実に、マリクの表情が曇る。
こういう反応をされるだろうからあまり口外して欲しくなかったのだけれど。
「Aが危ない目にあいそうになったんだよ、オリオン財団の手によってね」
ルースはマリクから目を離さずに言う。まるでマリクを遠回しに責めているようにも見えた。
「……そうだったの？」
マリクが心配そうにAを見上げる。
「いや…ルースくんも助けに来てくれたし、私は何ともなかったんだけどね？」
Aがそう言っても、どこか困惑している様子のマリク。
「あの…」
心配になって声をかけてみると、マリクは俯きながら呟いた。
「……僕は、そうじゃなかった。僕はオリオン財団に救われた身だった」
「……え？」
「でも…君や明日人は違うの？」
聞くところによると、このマリク・クアベルという少年はオリオン財団から拾われたらしい。
暗く貧しい町の路地裏で、生きる為なら残飯だって漁った…そんな生活から彼を救ったのがオリオン財団。
貧しいながらも人間的な生活ができるようになって、更にはサッカーまでできるようになった。マリクはその救いの手に、幸せな気持ちを抱いていたという。
ただ、その代償がまさしくこの試合。
この子も一星君のように利用されていたということなのか。
「マリクくん…」
マリクもオリオンに従っている身とはいえ、自分たちのやっていることに不信感を募らせ始めているように見えた。
「……オリオン財団って、一体何なんだろうな」
ふと、ルースが呟く。
考えてもその答えは分からず、マリクもAも押し黙った。
その通りだよ、オリオン財団って一体何？
オリオン財団はサッカービジネスから生まれた資金で色んな国の貧しい人たちを支援している。それ自体はとても素晴らしいことのはずなのに。
……実際は、みんな心から笑えていない。
一見オリオン財団を慕っているマリクくんだって。
オリオン財団は一体何が望みで、みんなをどうしたいんだろう。
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか？なぜですか？ (2020年3月25日 22時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます！最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます！1番ですか！？とても嬉しいです！ありがとうございます！！更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています！ (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月29日 21時
