350、刻印 ページ4
身動きの取れなくなったAに顔を近づけてくるベルナルド。
咄嗟に顔を背けるAだが、ベルナルドはAの顎を持ち上げるとぐっと自分の方を向かせ、押し付けるようなキスをした。
「…！？」
いきなりのことに、Aの体中の熱が一気に顔に集まってくる。
だが、腕をがっちり掴まれてしまった為抵抗することもできない。
「だ…誰か…！」
やっと唇が離れた時、扉の外に向けて声を上げる。
「無駄だ。外に我々の声は聞こえない」
だが相手は焦り一つ見せない。ベルナルドはAが想像するよりはるかに抜かりないようだ。
「まあ聞こえていたとしても、助けに来る者などここには一人もいないが」
たしかにそうだ。ここはオリオンの本拠地なのだから。AのSOSだって聞こえないフリをされるだけ。
それはつまり…
「邪魔が入らずに、今度こそゆっくり話せる」
ベルナルドに何をされるかわからない状況だ。
「君に刻印を入れるとしたら…」
言いながら、Aの喉元に指を当ててくる。
刻印。それはオリオンに従う者である象徴。ペクの肩に刻まれていたのが印象深い。
「Aはどこがいい？希望があるなら聞こう」
そんなの絶対にごめんだと、Aの背中に冷や汗が伝う。
「ここが良いか？それとも…こっちか」
笑みを浮かべながらAの首の至る所をなぞる。その手つきにAも思わずビクリと反応してしまう。
そのたびに愉快そうに笑うベルナルド。間違いない。Aの反応を見て楽しんでいる。
でも、屈したくない。
「嫌に決まってるでしょ！オリオンには絶対従わない！絶対に！！」
Aが未だ服従の意を見せずにいると、ベルナルドは手を離し、大きくため息をついた。
「…往生際が悪いぞ。自分の置かれている状況が分かっているのか」
今までの穏やかな声色とは違う。その豹変っぷりにAは度肝を抜かれた。
こうなるとある疑惑が浮上してくる。
「明日人のこともこんな風に連れ去ったんですか…？」
先程明日人の行方を知らないと言っていたが、嘘ではないかと。
「余計なことを考えるな。お前は私のことだけ考えていればいい」
「余計なことじゃない！明日人はどこですか！？」
仲間の安否がかかっているので、Aは臆することなくベルナルドを睨み上げる。
「…随分と威勢の良い女になったものだな」
反抗的な態度が癪に触ったのか、もしくは別の理由で機嫌を損ねたのか、ベルナルドは眉間に皺を寄せ、ネクタイを緩めた。
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか？なぜですか？ (2020年3月25日 22時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます！最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます！1番ですか！？とても嬉しいです！ありがとうございます！！更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています！ (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月29日 21時
