374、安心 ページ28
「何か事件にでも巻き込まれたんじゃないかと思ってたから、あいつが無事に帰って来た時どんだけ安心したか……」
正直な話、Aが無事に帰って来た時点で怒りよりも安堵の方が勝っていた。なのに。
「……なのにあの女、雷門のチームメイトだか何だか知らねえが帰って来て早々別の奴の相手ばっかしやがって」
拗ねたように「なんかムカついた」とぶつくさ文句を並べる。その予想以上の素直さに流石のアフロディも驚いたようだ。
「……そんな風に、いつも素直になればいいのに」
言いながらアフロディはクスリと笑みをこぼした。
「分かってるさ。君がAさんのことを大切に思っていることくらい。昨日だって、無事に帰って来てくれて安心したって気持ちがはっきり顔に出ていたし」
突然ニコニコと話し出すアフロディ相手にヒロトは怪訝な顔をする。
「今みたいに「無事で良かった」って言えば、Aさんだって嬉しいんじゃないかな？」
「……俺はお前とは違うんだよ」
「そんなことを言っている場合じゃないと思うよ」
「あ？」
「昨日の夜、Aさん……泣いていたんだ」
「………は？」
ヒロトは驚きの表情を見せた。滅多なことでは涙を見せないAが泣いていただなんて。
「それ本当か？」
「ああ。本人は誰にも見られていないと思ってるだろうけど、確実に泣いてた。それにしても人目に触れないところで涙を流すなんて彼女らしいね」
それを聞いたヒロトに罪悪感がざわざわと襲ってきた。
「……ヒロトくんがAさんにあんな態度を取るからじゃないのかな？」
アフロディの言葉がグサリと胸に刺さる。
好きな人に優しくしないといけないということは分かっている。だがいつも素直になれたら苦労はしない。
(とにかく、まずは謝る方が先か……？)
「あ……噂をすれば」
「！！」
ランニングから帰って来たらしきAがグラウンドに入って来る。まだ謝る心の準備はできていないというのに。
アフロディはヒロトに目線を移した。ヒロトは固まったまま動く気配がない。
「……ヒロトくんが行かないなら、僕が慰めに行くよ」
「なっ！？」
アフロディが先にAに向けて歩き出す。
(あの野郎……)
アフロディがAに話しかける。ヒロトを動揺させるためだろう。ヒロトはその策にまんまと引っかかり、苛立ちを募らせた。
そこへAの泣いている顔を想像すると、尚更だ。
「………くそっ！」
そして、葛藤の末にAの元へ足を運んだ。
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか？なぜですか？ (2020年3月25日 22時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます！最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます！1番ですか！？とても嬉しいです！ありがとうございます！！更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています！ (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月29日 21時
