373、素直に ページ27
「Aさんは大丈夫かな……」
グラウンドの隅にあるベンチにて。
汗をタオルで拭いながらポツリと呟くアフロディ。ランニングへ行っておりここには姿のないAへ思いを馳せる。
近くで休憩していたヒロトもピクリと耳を傾けた。アフロディはそれを見逃さない。
「昨日から元気が無いみたいだよね。後で声をかけてみないかい？」
と、今度は直接ヒロトに話を振る。
「知るか、あんなブス」
ヒロトが知らん振りをして言うと、アフロディは真剣な顔で諭す。
「……ヒロトくん、女性には優しくしないと」
「余計なお世話だ」
「特にAさんには、だよ。君は彼女に特別な感情を抱いているようだし、嫌われたくなんてないだろう？」
「！！？」
思わぬところで図星をつかれ、ヒロトは咳き込んだ。
「君はAさんに対して明らかに他と態度が違うからね」
「ふざけんな！誰があんなバカ好きになるか！！」
まだ会って間もない神に自分の気持ちを悟られるのは癪だった。それに、ヒロトが好きな人を言い当てられて素直に「その通りです」など言うわけがなかった。
いつまでも意地を張り続けるヒロトに、アフロディは小さくため息をこぼす。
「……そっか。ヒロトくんがそう言うなら仕方ない。後で僕だけでもAさんのところに行ってみることにするよ」
「……は！？」
「僕は君とは違って、彼女が元気ないのは嫌だからね」
「……どういう意味だよ」
「ヒロトくんはAさんのことが嫌い、だからいつも素っ気ない態度を取ってしまう……昨夜Aさんが帰って来た時みたいに。そういうことだろう？」
「な……」
「つまり、君にとってAさんが落ち込んでようがどうでも良いってことだよね？」
ヒロトが素直になれないのを良いことに、意地の悪い質問をぶつけてくるアフロディ。
「Aさんのことが嫌いなら、無理に近づく必要はないと思うよ。僕は彼女が悩んでいる以上放ってはおけないけど」
「…………」
アフロディはタオルをベンチに置いてその場を去ろうとした。
すると
「…………嫌いなんかじゃ、ねえよ」
空気の抜けた風船のように素直な気持ちを口にしたヒロト。アフロディも思わず立ち止まる。
「あいつは同じチームのメンバーだぞ。そんな奴のこと、どうでも良いとか思うわけがないだろ」
ヒロトの顔は真剣そのものだった。
ヒロトにとって今まで居るのが当たり前だった奴が突然いなくなって、不安に思わないわけがなかったのだ。
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか？なぜですか？ (2020年3月25日 22時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます！最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます！1番ですか！？とても嬉しいです！ありがとうございます！！更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています！ (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月29日 21時
