369、絶望 ページ23
これがキスマークというのだろうか。
まさかこれを見られてしまうとは思わなかった。
どうしよう、何て説明すれば。
Aは超高速で言い訳を考える。
「これは…何だろうね…虫にでも刺されたかな…」
知られたくない。みんなが私を捜してくれていた間、私が何をされていたかなんて。
これ以上追求されては困るのでAはタツヤに手を離して欲しかったが、タツヤはそれを許さなかった。
絶対にこれは虫刺されなどではないと、タツヤの勘が言う。
間違いなく、誰かの仕業だ。
そこにうっすらと残っている歯型がそれを表している。それに顔が赤くなっているAが証拠だ。何かがあったことを隠し切れていない。
Aは全然無事なんかじゃなかった。
ふつふつと、タツヤの奥底から何かが湧き出てくるのが分かった。
怒りだ。
「誰にされた！？」
握る手に力を込め、鋭い剣幕で問いただす。
「いや…これは別に」
「いつやられた！？誰に何をされたんだ！？」
タツヤは眉間に皺を寄せながら質問する。
タツヤの迫力に、Aも思わず怯んでしまう。
一体誰がAにこんなことを。
何て酷い。悔しい。
妬ましい。
タツヤはそう心の中で唱えると、Aの肩に顔を近づけていた。
「いた…っ！？」
痛みを訴えるAの声で、タツヤははっと我に返った。
(…俺は今、何を)
顔を上げると、痛みに顔を歪めているAの姿が。その肩はますます赤くなっていた。
俺がAを傷つけてどうする。
今度は自責の念でいっぱいになった。
これもまた、恋は盲目ということなのか。
そう考えるとタツヤは恐ろしくなった。
「……ごめん…」
「本当に、ごめん」と、タツヤはもう一度蚊の鳴くような声で謝罪をして、部屋から出て行った。
残されたAはただ呆然とするしかなかった。いつものタツヤからは想像できないことをされ、驚きを隠せない状態だ。
(…まただ)
これでまた一人、Aの前からいなくなってしまったのか。
Aは深い絶望を感じた気がした。
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか？なぜですか？ (2020年3月25日 22時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます！最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます！1番ですか！？とても嬉しいです！ありがとうございます！！更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています！ (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月29日 21時
