339、事件 ページ43
「A、大丈夫か？」
ミーティングルームから出て行く際、円堂から声をかけられた。
「…何だか、信じられなくて…」
先程の試合の結果はクラリオ達の実力を知っているAにとってなかなかショックが大きかった。
また会おう。そう言ってくれたクラリオの顔が頭をよぎる。
そこでAはハッとして考えを改めた。
「…いやでも、私が悩んだところでクラリオさん達が嬉しいはずがありませんよね。まずは私達がロシアに勝たないと…」
その言葉こそ、Aが精神面で変わってきた証拠だった。
円堂はここ最近で急激に成長してきているAを見て満足そうに笑った。
「そうだな！…ところでAは、俺達とクラリオ達の試合を見てスペインと戦いたいって思ったんだっけ？」
「はい。世界のレベルって凄いんだなって思ったので…。あ、もちろん雷門中の皆さんも凄かったですよ！」
「いやいや、あの時は世界にも通用するって思い上がってたからなー。惨敗だったよ！」
明るく笑う円堂を見て、Aもつられて自然な笑顔が戻る。気持ちが少し落ち着いたのが分かった。
事件はその後起きた。
「みんな大変だ！これを見てくれ！」
剛陣が紙を手にして食堂に入ってきた。
それは明日人からの置き手紙で、内容はこうだ。
『父ちゃんが見つかった。大事な時だって分かってる。だけど、どうしても父ちゃんと話しておきたいことがあるんだ。少し留守にするけど、心配しないで』
それはたしかに、明日人の字。
「明日人の親父さん、お母さんからの手紙に「実は生きている」って書いてあったんだよな…」
明日人からの手紙を読み上げた氷浦が呟いた。氷浦は明日人の事情を知る者の一人として驚いていた。
「その親父さんとこのカザニで会ったってことか？そんな偶然があるんだな」と万作も同じく驚きを隠せない。
だから最近様子が変だったのかな…と、ここのところの明日人を思い出して考える。
「待てよ。父ちゃんと一緒に日本に帰っちまって、ここには戻って来ないなんてことはないよな」
突然剛陣が不吉なことを口にした。
「明日人がチームを放り出すわけない。心配ないですよ」
「ええ。夕方には戻って来るでしょう」
明日人のことを一番良く知っている氷浦、万作は確信を持ってそう言う。
そしてAも、明日人が戻ってくることを信じていた。
そうだよ。だって「みんなで優勝しよう」って明日人と約束したんだもん。
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紅葉(プロフ) - 夜空さん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただいてとても嬉しいです！これからも更新頑張ります！ (2019年9月29日 11時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - とても面白くて新しい更新を楽しみにしてます！タツヤの恋も応援したい！ヒロトの恋も応援したい！どうなるの〜汗 (2019年9月29日 2時) (レス) id: d246f2b775 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ドルチェさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです！これからも更新頑張ります！！ (2019年9月23日 12時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 紅葉さん,いつも楽しみにしてます！これからも拝読させて頂きます！頑張ってください！ (2019年9月23日 12時) (レス) id: 697128a6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます！アツヤの登場でさまざまな人間関係が大きく変わっていく、ということをテーマに書いていく予定ですので、楽しんでいただけると幸いです。これからも頑張ります！ (2019年9月14日 8時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月8日 22時
