298、ベルナルド・ギリカナン ページ2
スーツを身にまとった銀髪碧眼の男性は、Aに向けて笑いかけた。
「良かった。覚えてくれていて」
「もちろんですよ…！」
ベルナルド・ギリカナン。
Aにロシアでサッカーについて色々教えてくれた人。
「元気にしていたか？」
「はい！」
「大きくなったな」
「久しぶりに会いましたもんね！」
久々の再会で会話は止まりそうにない。
「ああ、本当に…」
突然ベルナルドがAへと歩みを進める。
「？」
Aが異変に気づくよりも早く腰を引き寄せられた。
＿_ちゅっ。と軽いリップ音と共におでこに柔らかなものが触れた。
「…！？ちょっ…」
少し反応は遅れたものの、自分が何をされたか今回はAにも分かった。
だが、ベルナルドはなかなか離れる気配がない。
「ちょっと…！？」
思わずつき飛ばしたが、相手はよろけることなく離れた。
「な、何ですか急に！」
「ほんの挨拶だが？」
「…えっ」
「君もロシアに住んでいたことがあるから分かるだろう」
「…あ」
ロシアの人は挨拶としてキスをする。それをすっかり忘れていた。
「す…すみません」恥ずかしながら、必死に頭を下げた。
最近こういうの敏感になって来てるから、過剰に反応してしまった。
でも兄弟共にやることが唐突過ぎる。と、フロイを思い浮かべながら思った。
「…ふふ」
ベルナルドは顔を赤く染めながら謝るAを見て、くぐもった笑い声を上げた。
「ロシアにいた頃はこのくらい普通だっただろうに…」と、意地の悪い笑みを浮かべるベルナルド。
(…む、昔のような紳士的なベルナルドさんはどこへ…？)
と、混乱しているAを見て、ベルナルドはクスリと笑った。
「すまない。君に会えて嬉しいものだから、ついからかいたくなってね」
「…！」
柔らかな笑顔を向けて言うベルナルドに、Aは嬉しい気持ちでいっぱいになった。
ベルナルドさんも、私に会えて嬉しいって思ってくれたんだ、と。
「わ、私もお会いしたかったです！ずっと！」
「…そうか。ありがとう」
自分の気持ちを正直に声にするAに、ベルナルドはポツリとお礼を言った。
「ところで…」Aの耳元に目線を移す。
「…それ、まだ持っていたのか」
それ、とは髪飾りのことだろう。
「もちろん！いつも持ち歩いてます！」
Aは大きく頷いた。
「……そうか」
「…？」
ベルナルドの顔が一瞬曇ったように見えて、Aは首を傾げた。
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紅葉(プロフ) - 夜空さん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただいてとても嬉しいです！これからも更新頑張ります！ (2019年9月29日 11時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - とても面白くて新しい更新を楽しみにしてます！タツヤの恋も応援したい！ヒロトの恋も応援したい！どうなるの〜汗 (2019年9月29日 2時) (レス) id: d246f2b775 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ドルチェさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです！これからも更新頑張ります！！ (2019年9月23日 12時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 紅葉さん,いつも楽しみにしてます！これからも拝読させて頂きます！頑張ってください！ (2019年9月23日 12時) (レス) id: 697128a6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます！アツヤの登場でさまざまな人間関係が大きく変わっていく、ということをテーマに書いていく予定ですので、楽しんでいただけると幸いです。これからも頑張ります！ (2019年9月14日 8時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月8日 22時
