337、焦り ページ41
翌朝。
朝食をとっていると、アツヤが隣の席に腰を下ろして来た。
「よお、ひっでー顔だな」
「仕方ないじゃん」
おはようを言う代わりに言い返すA。ご飯を口に運ぶ手を止めないでいると、アツヤもそんなAの横でご飯を口に入れた。
しばらくしてから、Aの顔を見ながら聞いてくる。
「…怪我、まだ痛むか？」
「ううん、だいぶ平気」
痛くないとはいえ、まだ怪我の跡は消えない。だから今朝から誰かと会うたびに「大丈夫か」と心配されている。
「お前にこんな傷つけるとか…マジであいつら、許せねえな…」
アツヤはそう言って、Aの絆創膏だらけの顔を優しく撫でてきた。
「あ、アツヤ？ちょっと…」
いきなりのことにAが戸惑っていると、誰かがアツヤをAからぐいっと押し退けた。
Aはその誰かを目にし、キョトンとした。
「またお前かヒロ……あ？」
アツヤは顔を見る前から誰の仕業か予想していたようだが、振り返るとその予想はあっさり覆された。
「ほら、Aが困ってるだろ」
そこにいたのは、色々とふっきれたタツヤだった。
「…タツヤ？」
意外な人物の邪魔が入り、アツヤは怪訝な顔をする。
「A、おはよう。怪我の具合はどう？」
「ん、おはようタツヤ。私なら大丈夫」
名前で呼び合う2人のやりとりに、周りでその会話が聞こえていた者たちが一斉にそちらを向いた。
やがて「そういうことかよ」と、アツヤもタツヤの行動の意味を理解したようだ。
「今まで大人しかった奴がいきなりどうしたんだよ」
「これからは、俺のしたいようにさせてもらおうと思うんだ」
この2人の間に火花が散るのは珍しい。
側にいたAは2人の間でだけ話が進んでいることに首を傾げるしかなかった。
そんな光景を遠くから見つめていた者がいた。
氷浦は次から次にAとの距離を縮めていくライバルたちを目の当たりにして、焦りを感じていた。
(この状況を打開するためには俺ももう、今のAとの関係を終わらせないといけないのかな…)
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紅葉(プロフ) - 夜空さん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただいてとても嬉しいです！これからも更新頑張ります！ (2019年9月29日 11時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - とても面白くて新しい更新を楽しみにしてます！タツヤの恋も応援したい！ヒロトの恋も応援したい！どうなるの〜汗 (2019年9月29日 2時) (レス) id: d246f2b775 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ドルチェさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです！これからも更新頑張ります！！ (2019年9月23日 12時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 紅葉さん,いつも楽しみにしてます！これからも拝読させて頂きます！頑張ってください！ (2019年9月23日 12時) (レス) id: 697128a6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます！アツヤの登場でさまざまな人間関係が大きく変わっていく、ということをテーマに書いていく予定ですので、楽しんでいただけると幸いです。これからも頑張ります！ (2019年9月14日 8時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月8日 22時
