検索窓
今日:3 hit、昨日:16 hit、合計:71,145 hit

315、もう一回 ページ19

「……苗字で呼ぶと長いから、名前で呼んだ方が良いかなって思って」

タツヤは必死に言い訳を述べる。

違う。焦っているんだ。自分が今までできなかったことをアツヤに簡単に先を越されて。

自分の方が先にAと仲良くなったはずなのに。

自分だって何度も、A、って呼べたら良いって思ってた。なのに罪悪感からか何度もチャンスを逃してきた。

でも、ようやく名前を呼べてスッとした。

「えっと…じゃあ私も…」

基山君がそうするなら、そう思ってAも小さく咳払いをした。

「タツヤ?」

その名を呼ばれた途端、タツヤの心音がまた大きくなった。

「はは、いきなりだと変な感じかもね」

照れて頰をかくA。やっぱり慣れないことはやめようかと言おうとした時。

「も、もう一回…!」

きゅっと、タツヤにジャージの袖を掴まれた。

「…え?」

Aは目をぱちくりさせた。

まず顔が近い。2人は思わず顔を背け、タツヤはAから数歩離れた。

「あ…いや…その…」

自分のしたことに驚きを隠せず、まごつくタツヤ。

意を決して、顔の前で人差し指を立てて言う。

「…もう一回、呼んでみてくれない…?」

タツヤは顔を赤く染めながらAと目を合わせたり、そらしたりを繰り返した。

「えっ…えっと…」

Aは今のタツヤを不思議に思いながらも、それがタツヤの望むことならと、名前を呼んでみる。

「…タツヤ」

これで良いのかな…と不安そうにタツヤの顔を見る。

そこでAは再び目をぱちくりさせた。

タツヤが顔を赤くしながらも嬉しそうに微笑んでいるから。

「…うん。ありがとう」

名前を呼んでもらえただけのことなのに、こんなに嬉しいのはどうしてだろう。その答えを考える余裕すらない程にタツヤは顔の緩みを戻すことに必死だった。

316、善と悪→←314、これからのこと



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
75人がお気に入り
設定タグ:イナズマイレブン , オリオンの刻印 , イナオリ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅葉(プロフ) - 夜空さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただいてとても嬉しいです!これからも更新頑張ります! (2019年9月29日 11時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - とても面白くて新しい更新を楽しみにしてます!タツヤの恋も応援したい!ヒロトの恋も応援したい!どうなるの〜汗 (2019年9月29日 2時) (レス) id: d246f2b775 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ドルチェさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです!これからも更新頑張ります!! (2019年9月23日 12時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 紅葉さん,いつも楽しみにしてます!これからも拝読させて頂きます!頑張ってください! (2019年9月23日 12時) (レス) id: 697128a6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます!アツヤの登場でさまざまな人間関係が大きく変わっていく、ということをテーマに書いていく予定ですので、楽しんでいただけると幸いです。これからも頑張ります! (2019年9月14日 8時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紅葉 | 作成日時:2019年9月8日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。