297、本家 ページ50
大谷「みんなすごかったですね！」
趙金雲「上出来でしょう。スペイン相手にここまで戦えるとは、私も思っていませんでしたよ」
杏奈「え？そうなんですか？」
豪炎寺「スペインは優勝候補の一つ。そのチームに引き分けたということは優勝の可能性も出てきた。だが、その前に一次グループリーグを勝ち抜かなければ…」
析谷「スペインに五分に戦えたのなら、残り2戦、勝てる可能性も高いな。しかし気になるのが…」
オリオンの動きですね。豪炎寺がそう言ったところへ、趙金雲の携帯が鳴った。
趙金雲はそこに書かれていた文字を見て、表情を引き締めた。
趙金雲「…やっと本家がお出ましのようですね」
貴女「えっ？何か言いました？」
趙金雲は笑って「いえいえ、何でもありませんよ」と誤魔化した。
貴女「それからトマトと、あと牛乳ね」
宿舎に戻った後すぐに、買い物リストが書かれた紙を片手に街を歩くA。
A自ら夕飯の買い出しに行くと買って出たのだ。
今日はみんなにさんざん心配かけてしまったから、このくらいしないと。
「君は素敵な女性だよ」
ロシアの街を歩いていると、昔そう言われた時のことをふと思い出した。
私はまだまだ「素敵な女性」とは程遠いと思う。
けど、少しでも「素敵な女性」に近づけるように頑張ります。私なんかとか…絶対できないとか、そんな言い訳で諦めたりしません。
自然と、そういう考えができるようになっていた。
今までは自信がなくて、正直、今の私が会って良いものかわからなかったですけど…
今の私なら、あなたに会っても恥ずかしくないかな。
貴女「…会いたいなあ」
Aがポツリと呟いたその時。
「………A？」
貴女「……えっ？」
後ろから自分の名を呼ぶ男性の声がして、ピタリと止まり、振り返る。
Aはその人物と目が合った途端、目を見張らせた。
「…やっぱりそうだ。A、久しぶりだな」
貴女「…嘘…」
その瞬間、時間が止まったように感じた。
？「…忘れたのか？私のこと」
貴女「そ、そんなわけないですよ！覚えてます！ちゃんと覚えてますよ！」
10年間一度だって忘れたことない。
貴女「ベルナルドさん…！！」
Aの人生を変えてくれたベルナルドという人物が、そこに立っていた。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年8月23日 13時
