286、私は私 ページ39
私なら絶対大丈夫。あれだけ頑張ってきたんだから、たまには自分を信じてみよう。
前線へ上がっていく際、野坂が口を開いた。
野坂「この試合の命運、僕が預からせてもらうよ」
剛陣「何か作戦があるってのか？」
一星「剛陣さんのおかげでヒントが見つかりました！」
野坂「それじゃあ始めようか」
野坂の合図で、「ザ・ジェネラル」で相手を次々にかわしていく。
アツヤから野坂へパスが渡り、明日人が「イナビカリ・ダッシュ」で相手を突破する。
明日人「A！！」
そして、明日人からAへパスが送られた。
豪炎寺さんみたいなシュートを撃ちたいとか、クラリオさんの実力にはまだまだだとか…ネガティブなことばかり考えてきたけど。
比べなくて良い。私は私だ。私なりのプレイを、全力でやるだけ。
クラリオさんと同じフィールドに立てている喜びとか、信じてくれているみんなへの感謝とか、頑張ってきた自分への信頼だとか…。
その気持ちを、全部このシュートに込める。Aはそう誓った。
どんなシュートもアロンソに読まれることは分かっているはずだが、Aはアロンソの真正面から「スパークルロード」を放った。
「まだ…まだ早い」Aは着地後もボールから目を離さず、何かのタイミングを伺っていた。
ベルガモ「あいつバカか？アロンソ相手に普通にシュート撃つとか…」
クラリオ「…いや、あれは…」
「今だ！」クラリオが異変に気付くより先に、Aは地上へと舞い上がり、そのボールの軌道へ先回りする。
空中戦なんて、前の私には絶対出来なかった。…というか、出来ないって思い込んでいた。
空中へ浮かんだ状態で二重の力が込められたシュートをアロンソめがけて打った。
アロンソは反応することが出来ず、ボールはゴールネットに突き刺さった。
貴女「ぐえっ」
空中から豪快に地面に叩きつけられ、着地には失敗した。
地面に倒れ込んだまま顔を上げると、得点板の数字が1から2へと変わる瞬間を見た。
まさかの展開に、開いた口が塞がらない者もいる。
貴女「…や……やった…？」
その瞬間、スタジアム中から歓声が上がった。
一緒にフィールドに立っている仲間、そしてベンチにいる仲間たちも一斉に歓喜に沸いた。
『ゴール！やりました日本！西村Aがシュートを決め2ー2！世界最強の一角、無敵のジャイアントを相手に同点に並びましたー！』
『だからあなたは解説だって言ってるでしょー！』
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年8月23日 13時
