280、気功 ページ33
析谷「ヒーリング・セレブレーション！」
それを受けた灰崎は簡単に体を動かせることができていた。
趙金雲「体内エネルギーの流れを利用して、疲労回復させたのですよ」
灰崎「体がすっかり軽くなっちまったぜ！何も問題ねえ！」
さっきまでの疲労が嘘のように灰崎に元気が戻っていた。一同は驚きを隠せない。
(マジで…？気功って、すごいんだな…)
関心していると、析谷が力が抜けたように座り込んでしまった。
析谷「この技は、結構体力を使うんでね。一日一人が限界なんだ」
…気功って、大変なんだな…
灰崎「ありがとよ。思う存分暴れさせてもらうぜ！」
析谷の行為を無駄にしないことを誓う灰崎。
Aがぼんやりとその光景を見ていると。
アツヤ「…どうした？」
アツヤが異変を感じ、唐突に隣にいたAに声をかけた。
貴女「……何が…？」
今のAは明らかにおかしかった。
顔色は良好とは言えず、大量の汗をかき、何より呼吸が浅く早くなっている。
それは試合での疲労以外にも原因があるようだった。
「…お前、もしかして…」アツヤはそんなAに目を細めた。
アツヤ「緊張してんのか？」
貴女「…！」
図星を突かれ、Aは動揺の色を見せた。
アツヤ「…やっぱりな」
灰崎「…は？緊張？お前がか？」
アツヤの言葉で、周りから一気にAに視線が向けられた。
……
…せっかく吹雪さん達が流れを変えてくれたのに、私が足を引っ張るようなことがあったら…。そんなことばかり考えてしまっていた。
氷浦「…ずっと戦いたかった相手だから、気負ってるんだろ？」
氷浦はAの考えていることがよく分かっていたようだった。
Aは言い逃れは無駄だと分かり、ゆっくり頷く。
アツヤ「…ずっと戦いたかった？あいつらと？」
スペインチームに向けて親指を向けるアツヤ。
貴女「…うん」
…なのに、私はこんなチャンスを自分で無駄にしようとしてる…。
このままじゃ本当に、夢が夢のままで終わってしまう。
Aが今の自分の状況に危機感を抱いていると、隣から大きくため息が聞こえた。
アツヤ「…めんどくせえ」
貴女「…！？」
アツヤ「そんなことでいちいち緊張してたのかよ」
「…そんなことって…」アツヤの言い方に眉をひそめるA。
Aとアツヤ以外のメンバーは、二人の間に流れ出した不穏な空気を感じ取った。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年8月23日 13時
