279、ハーフタイム ページ32
『2ー1！スペイン代表リードで前半終了となりました！』
ハーフタイムに入り、析谷が士郎の足の怪我の処置をしている。
一方で、灰崎は前半で体力を使ってしまい、座り込んで呼吸を整えていた。
子文「灰崎君も後半は無理そうですね…」
灰崎「何言ってやがる、俺はまだ…」
強がり立ち上がりながらもふらつく灰崎をヒロトが支えた。
吉良「おっと。神の肩を借りるとは、とんだ悪魔もいたもんだ」
灰崎「うるせぇ、離しやがれ」
吉良「ほらよ」
本当にヒロトが手を離すと、膝から崩れ落ちる灰崎。
吉良「ろくに立てもしねえやつがフィールドにいたって邪魔なだけだぜ」
円堂「硬いだけじゃ止められない。何か…何か手があるはずだ」
円堂は手をグッと握りながら呟く。
一星はフィールド全体を見渡して分析を行っていた。
一星「スペインの弱点は、逆にそのフィジカルの強さにあると思われます。スペインはあまりにフィジカルが強いため、ディフェンスを避けて通るような動きはしません」
野坂「そのプレイスタイルこそが、スペインへの付け入る隙……と、いうことは…」
野坂はメンバーを集めて作戦を伝えた。
風丸「なるほど…」
「ぶっつけ本番で上手くいくかな？」「やるしかないよ！」不安そうな者、気合充分な者と様々だった。
趙金雲「後半は吹雪君に変わって剛陣君に出てもらいましょう」
剛陣「よっしゃ！任しとけ！」
吉良「俺じゃねえのかよ！」
飛び跳ねながら喜ぶ剛陣に対して、ヒロトが趙金雲に抗議する。
趙金雲「さて、どうしましょうかねえ」
灰崎「俺はまだやれる！」
趙金雲がチラリと灰崎の方を見れば、灰崎は必死に訴える。
野坂「監督、僕も灰崎君にはこのまま試合に出てもらいたいと考えています」
趙金雲「野坂君がそう言うなら。では、おーい析谷君。出番ですよー」
析谷「はい。さ、凌兵」
趙金雲が呼びつけると、にっこり笑って灰崎を押し出す析谷。
趙金雲「彼はインドで特殊な気功を修行していましてね」
気功…？
析谷「僕はフィジカルトレーナー兼データ分析担当兼料理長兼データセキュリティ担当兼気功マッサージ師だからね。流石に怪我を治すことまではできないけど…」
よくわからないけど、また前に聞いた時よりも析谷さんの仕事が増えている。
怪我を治せなくても充分凄いですよ…。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年8月23日 13時
