251、貴重ですよ ページ4
撮ってもらった後、タツヤはこっそりつくしの元へ向かった。
基山「…あ、あの…」
大谷「はい！何ですか？」
声が小さめのタツヤとは裏腹に、つくしは大きめな声でタツヤに接した。
基山「…今撮った写真…なんですけど」
「出来上がったら…俺にも…」顔を真っ赤にしながら途切れ途切れに言葉を繋ぐタツヤ。
大谷「！」
そんなタツヤを見て、つくしは皆まで言われずともタツヤの言いたいことを察した。
大谷「もちろんですよ！何枚でも差し上げます！楽しみにしていて下さい！」
目を輝かせながら大声を出すつくし。
「こ…声、もっと下げて…！」タツヤは焦って周りに聞かれていないか確認した。
大谷「…Aちゃんとのツーショットなんて貴重ですよ。写真、大切にして下さいね」
基山「…はい」
また一つ、タツヤにとって大切な思い出が増えた。
一方その頃、Aは。
貴女「基山君とつくし先輩、何話してるんだろう？」
杏奈「珍しいわね。組み合わせ的に」
貴女「本当だね」
何も知らずに遠くから杏奈と話していた。
杏奈が写真を撮りにAから離れた時だった。
「お嬢さん、僕とデートしませんか？」
貴女「！？」
突如背後からそんな声が聞こえてきた。
この声は…。
振り返ってみると、そこにいたのは。
貴女「ふ、フロイ…」
声で何となく察したが、やはりフロイだった。
フロイはAの手を引いて、他のメンバーに見えないように建物の裏に隠れた。
フロイ「他の人達には内緒だよ。僕が恨まれちゃう」
貴女「…何でここが分かったの？」
フロイから手を離してもらうと、Aも思わず小声になった。
フロイ「実はさっきから君のそばにいたんだ」
貴女「えっいつから！？」
フロイ「ほら、誰かに見つかるよ」
無意識に声が大きくなるAに、フロイは右手の人差し指を自分の口元に当てた。
フロイ「そしたら、君まで疑われちゃう」
貴女「…！」
それはつまり、ただでさえオリオンだと疑われているフロイと一緒にいると、Aまで不信感を持たれてしまうということだろうか。
貴女「…ねえフロイ、さっき言ってたことって…」
フロイ「そういうことも含めて全部向こうで話そうか」
フロイは親指を他のメンバーのいない街中へ向けた。
フロイ「誰にも邪魔されない場所でね」
端正な顔立ちに笑みを浮かばせるフロイ。
貴女「…！」
Aも、ちょうど聞きたいことがたくさんあった。
貴女「…わかった」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年8月23日 13時
