天使(仮)の人生は平穏無事とはいかない。11【オリオンの刻印】 (ページ7)

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やはり、ベルナルドも新条同様、顔に怪我を負っていた。

「お前、何故ここに…」

突然目の前に現れたAに、ベルナルドは目を丸くしている。だが離れにグスターブが見えた瞬間、そちらを睨みつけた。

「私が無理を言ったんです」

「帰れ」

「帰れません」

そんな悲しそうな顔で突き放されたって、説得力がない。馬鹿な私でも分かる。この人は今、心にも傷を負っている。それを見て、知らん振りできるわけない。

「…お前が、昔の私を恩人としていることはよく分かった。だが現実を見ろ。今の私は昔とは違う」

「そうですね。あなたはオリオン財団理事長で、私はイナズマジャパンの一員です」

「そうだ。忘れたわけではないはずだ。私のしてきたことを」

ベルナルドは、過去の過ちを自ら口にした。

お前たちイナズマジャパンに対し、何度も内部崩壊を謀った。

目的の為なら手段など選ばないと、各国の使徒には、日本を倒すことだけを命じた。

何も知らないAをたくさん利用した。

「何度も、何度も…お前を傷つけた」

頭を抱え、苦しそうに自分を責め続けている。でもねベルナルドさん。

「分かっているんだろう…私がどんなに酷い奴か。だから、もう私には…」

聞き捨てならないんですよ。

「自分を一方的に責めるのはやめてください！あなたを侮辱する者は、誰だろうと私が許しませんから！」

「！？」

「いいですか！？まずフロイやアルトゥールくんたちは、何があってもあなたを信じると決めてるんです！言ってましたよ、あなたはいつまでも、自分たちの希望だって！」

この目でちゃんと見てきたからね。
あなたがどれだけの人に尊敬されているかを。

「私たちだって何かされたくらいでいつまでも傷ついてるほどヤワじゃありません！でなきゃ代表選手なんて続けてられないってんですよ！」

度肝を抜かれているベルナルドに、Aは一気にまくし立てた。

「私がそう思ってるんだから、素直に受け取ってください！！」

動揺していたベルナルドから、「年下のくせに生意気だな」という呟きが聞こえた。

「こんな子供ですが、一緒に背負いたいんです」

あなたがどうしたいのか話を聞いたり、一緒に考えたりすることくらいはできるから。

「お節介にも程がある…」

「ええ何と言ってもらっても構いません」

お節介だろうが何だろうが、馬鹿にされてもいい。
この人が傷ついているのを見過ごすのが一番嫌だ。