天使(仮)の人生は平穏無事とはいかない。11【オリオンの刻印】 (ページ6)

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500、憎みたくてたまらなかったページ6

それから間もなくして、父が亡くなった。
自分の希望で、心の拠り所だった父が。

『父さん…一人にしないで』

その日から何度も、一人で涙を流した。

それからは、環境がガラリと変わった。
父の地位を引き継ぎ、前のように、精神的に余裕がなくなった。

『兄さん！僕、前よりドリブル上手くなったんだよ！』

『……そうか』

フロイは、変わらずボールを追いかけている。だが、前に進もうとしている。

『A、どこかの島でサッカーを続けるって言ってたから、僕も負けてられないなって』

Aはどこに行っても、サッカーを続けると約束してくれた。フロイはAと再会できると信じているようだが。

あの泣き虫が、果たしてどこまで続けられるか…

『…私には関係ないことだ』

『え…？』

魔女の囁きが聞こえる。
西村Aを憎みなさいと。

『…憎む？Aを？』

＿＿あの子は敵よ。

『……敵』

＿＿そう。利用するだけ利用して、あなたの前から消えた

＿＿そんなあの子が幸せになるなんて、許されることじゃない

＿＿あの子は絶対に、再び私たちの元へ現れる。その時は…分かっているわね？馴れ合いなどいらない

『……はい』

奴は敵。
そう思い込むのは簡単だ。

ただ、完全に嫌いにさえなれたら楽だったのに。

『いいか。私が指揮をとるからには、手段は選ばない。邪魔をする者は、即刻排除する』

それをモットーに、ベルナルド・ギリカナンはオリオンの頂点に立ち続けた。

『……イナズマジャパンか。目障りだな』

オリオンに反旗を翻すイナズマジャパン。その中には、宿敵である少女もいる。

『……Aに再会の挨拶くらいしておくか』

だが思っていたより、日本は、Aはしぶとかった。
ならば尚更潰さねばならない。どんな手を使ってもだ。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

自分のしてきたことを思い返してみて、頭を抱えた。

何度、過ちを繰り返して来ただろう。
たくさんのものを失いながら、自分はここにいる。

「……私は」

何をしているんだ。

いつまで怯えたままなのだろう。
いつまで時が止まったままなのだろう。
いつ、前に進めるのだろう。

苦しい。

苦しい。

助けて。

「ベルナルドさん！」

「……！？」

「大丈夫ですか……？」

顔を上げると、ずっと憎みたくてたまらなかった女性が、心配そうに覗き込んでいた。

夢じゃないかと思った。
彼女が自ら私の元へ会いに来るなど。