524、チョウキンウンズ ページ30
「おーみなさんそのユニフォーム、とっても似合ってますよ！」
フィールド上に、世界代表メンバーが揃った。
ユニフォームはエメラルドグリーンの映えるシンプルなデザイン。
一列に並ぶメンバーを見渡し、陽気な趙金雲。
「みなさんはこれより世界代表、その名も…」
うーむと唸り出す趙金雲。まだ何も決めてなかったらしい。子文が案を出してあげようとするも、趙金雲は思いついた名を自信満々に挙げた。
「チョウキンウンズなんてどうでしょう！？」
破滅的なセンスに、一同は苦笑いだ。
(…ん？)
視線を感じると思ったら、隣にいる灰崎がこちらをじっと見ていた。
「何？」
「お前のその格好、違和感しかねえなと思って」
何考えているのかと思ったら、そんなこと！？
「そっちだって人のこと言えないじゃん」
「んだと！？この腹黒天使！」
「何か文句でも！？」
「そこ！喧嘩するな！」
「はい…」
低レベルの口論が始まったところで風丸から制止され、しゅんと体を縮めた。
その様子を見て、周りは微笑ましいといった表情で笑い出した。
『では、世界の真実をかけた聖戦を始める！交代無制限の、エキシビションマッチを！』
FFIは一時中断。
大会運営委員会も試合実行を認めたようで、準備は整った。
いよいよ試合開始。
だが、彼らは予想をはるかに上回った。
「ダイヤモンドエッジ！」
出た、クラリオさんの必殺シュート！
だが、GKは宙返りしながら直接蹴り返したのだ。そのボールを、ユリカが足元に収める。
「えっ…」
Aたちは目を疑った。
嘘でしょ？あんなすごいシュートをいとも簡単に？
「見せてやろう、オリオンの力を」
プレリュード、と呟いたのが聞こえた。
その瞬間だった。
「！？」
簡単にAたちDF陣を抜き去り、あっという間にシュートエリアへ進入した。
「オリオン・クロスバイパー！」
黒いオーラが彼女の分身となり、ユリカと共にツインシュートを放つ。
円堂は「ダイヤモンドハンド」で抵抗するも、あっという間に吹き飛ばされた。
「すげえ、何てすげえんだ！」
未知の力を持つ相手に、円堂は感動していた。
「敵わねえよ、あんなの。けどさ、敵わねえやつがいるってことは、まだまだおもしれえことが続くってことじゃないのか」
こんな状況でもそんなことを言えるなんて、やっぱり只者じゃないな、円堂守は。
けどこんな状況だからこそ、いつもの私たちでいなきゃいけないんじゃないかな。円堂さんみたいに。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2020年4月6日 19時
