494、過去がどうあれ ページ50
「あの頃の君は、どこか自分に自信が見られなかった。けど今は違う。今日の試合を見ていてよく分かったよ」
「……本当ですか？」
「ああ。やはり、人は変わっていくんだな」
新条のその言葉で、Aは過去の自分を恥じた。
「……そうですね。変わるものもあるんですよね…」
「西村さん？」
「……私、ベルナルドさんが敵になってしまったなんて…最初はどうしても信じたくなかったんです」
だから、何度も現実から目を逸らそうとした。
ベルナルドさんは完璧なんだって、自分の理想を押し付けていただけだったんだ。
再会してから今まで、「今の」あの人と向き合ってきたことなんてあっただろうか。
ベルナルドさんの言う通り、私は過去に捕らわれ過ぎていたのだ。
それも含めて、謝りたい。
「それに気づけただけでも、大きな変化だよ」
「…はい」
大切なのはこれからだ。
これから私が彼とどう接していくか。
「君は誰に対しても優しいんだね」
「…？」
「たとえベルナルド様への恩を抜きにしても、君は彼を救おうともがいていたのだろうな」
「………」
そうだろうか。
私には昔からベルナルドさんへの恩がある。
だから私はこんなにあの人に執着しているのではないか？
今の私は、人助けというより、ただ恩返しがしたいだけなのではないか？
だって、仮に10年前、私たちが出会ってなかったら？
今、私はここまであの人を助けたいと思っていただろうか。
「いや、過去がどうあれ、絶対に君は彼に手を差し伸べていたはずだ」
だが新条は、そう言って引かない。
どうしてそう言い切れるんだろう。
「君は誰であろうと、困っている者を絶対に放っておかない人だから」
「……！」
「西村さんのそういうところは、昔から全く変わっていない」
新条は断言した。
君ならきっと、ベルナルド様を救える、と。
その後、VIPルームへ向かったが誰もおらず、電話をかけても、応答はなしだった。
暑過ぎず冷た過ぎずの風が体に当たる。
随分と見慣れてきた街中を、ひたすら駆け抜けるA。
が。
「わっ！？」
足元の石につまづき、豪快に転んだ。
(うう、こんな時までドジを踏むなんて…)
そこでふと見上げると、自分の真上には木が生い茂っており、既視感を覚えた。
「……これ」
思い出した。この辺りには昔も来たことがある。10年前とは街並みが大分変わっており、今まで気がつかなかった。
だがこの木だけは健在し、見違える程に大きく育ったようだ。
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アルティメットカオス - はい。数話見たあとすぐにパスワード認証って出てきますね。 (2020年4月3日 8時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - アルティメットカオスさん» 大変申し訳ございません。パスワードは解除しているはずなのですが…まだ出てきますか？ (2020年4月3日 6時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
アルティメットカオス - この作品のシリーズ8がよくパスワード認証って出てくるのですが……なぜですか？ (2020年3月31日 20時) (レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！この作品は夢主の成長も題材としているので、そうおっしゃっていただき、とても嬉しいです！完結に向けて頑張りますので、楽しんでいただけると幸いです。 (2020年3月29日 12時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - いよいよ10ですね!キャラクターとの会話は勿論、夢主さんがキャラと共に成長していく姿が見ていてとてもワクワクします!紅葉さんの作品が大好きです、これからも応援しています! (2020年3月28日 19時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2020年3月21日 1時
