469、守られてばかりの子供じゃない ページ23
『でも結局、それからあまり月日も経たないうちに伊那国島へ引っ越した』
「どうして？」
『イリーナさんに出会ってしまったから』
！
『あの人によって貴女に危害が及ばないよう、誰の目にもとまらないのどかな島に、貴女を連れて行くことにしたの』
それで、いきなり伊那国島に引っ越すことになったのか。
『あの女性がどんな人か、あなたも小さな頃から知っているでしょう？』
「……まあ、ね…」
『まあ結局、そのあとすぐに仕事の都合で再び東京へ戻ることになって…貴女の伯父と再会することになってしまったのだけれど…』
何て偶然の積み重ねだろう。
ただ、もう一つ分かったことがある。
お母さんは、私に思い出して欲しくなかったんだろう。ロシアにいた時のこと…主にイリーナさんのことを。
だから、ロシアにまつわる思い出の品が全て無くなっていたんだ。
「…捨てちゃったの？」
『え？』
「フロイ達と蹴ったボール、一緒に撮った写真…全部捨てちゃった？」
『捨ててはいない。ただ目の届かない場所に置いているだけ』
私がロシアにいた時のことを思い出し、感傷に浸ることのないよう、ロシアにまつわる品は全て隠していたらしい。
捨てられていなかっただけでも安心した。
「でも、どうしてそこまで…」
『あなたには、苦労をかけたくなかったの。面倒なことに巻き込まれて欲しくなかったのよ』
母は、ずっと心配していたらしい。
巻き込まれ体質の娘のことを。
「…お母さんは私のことを考えてくれていたんだね。ありがとう」
でも、と、Aは続ける。
「私はもう守られてばかりの子供じゃない。いつまでも泣いて、怖がってばかりもいられないから。だから何でも一緒に背負いたいの」
そう言うと、急にスマホから声が聞こえなくなった。かと思うと、小さく鼻をすする音が聞こえた。
『…ごめん。ちょっと驚いた。まさかあなたがそんなことを言う日が来るとは…』
母のその声色から、嬉しそうに感じた。
Aの言葉から、我が子の成長を感じたようだ。
『分かったわ。今まで黙っててごめんなさい。これからは、何でも話すことにする』
「そうしてくれると嬉しい」
『今考えると、私もなかなか過保護だったわね。けどあれで良かったと思ってる。今じゃ、あなたにも良い仲間ができたみたいだから』
「そうだね」
だから、私は母に感謝してる。
あの頃のことがなかったら、無かった出会いがたくさんあるから。
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アルティメットカオス - はい。数話見たあとすぐにパスワード認証って出てきますね。 (2020年4月3日 8時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - アルティメットカオスさん» 大変申し訳ございません。パスワードは解除しているはずなのですが…まだ出てきますか？ (2020年4月3日 6時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
アルティメットカオス - この作品のシリーズ8がよくパスワード認証って出てくるのですが……なぜですか？ (2020年3月31日 20時) (レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！この作品は夢主の成長も題材としているので、そうおっしゃっていただき、とても嬉しいです！完結に向けて頑張りますので、楽しんでいただけると幸いです。 (2020年3月29日 12時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - いよいよ10ですね!キャラクターとの会話は勿論、夢主さんがキャラと共に成長していく姿が見ていてとてもワクワクします!紅葉さんの作品が大好きです、これからも応援しています! (2020年3月28日 19時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2020年3月21日 1時
