447、日本とロシア ページ1
もし本当に黒幕がいるのだとしたら。
食中毒を企むくらいなのだから、段違いに卑劣なはず。
「で、その黒幕って…」
電話の向こうからフロイを呼ぶ声が微かに聞こえた。声の主はユーリだと思われる。
『ごめんA、この話はまた今度』
「分かった。今日はありがとう」
まだ黒幕がいるとなると、ますますこの戦いの終わりが見えない。
氷浦と仲直りできただけ良かったけど、まさかこんな事態になるなんて想像もしなかった。
どうしてこうなったのか、もう一度ちゃんと考えよう。
時は数年前に遡る。
ロシアを離れ日本に帰ることが決まった日、真っ先にベルナルドに報告しに行った。
『そうか、寂しくなるな』
そう呟く彼がどんな顔をしているのか、涙で視界がぼやけてよく見えなかった。
『…あの、私、絶対にまた会いに来ます！』
ベルナルドさんはお仕事で忙しいだろう。だから私から会いに行こう、そう誓った。
『…そしたら、またお話してくれますか？』
『ああ、待っている』
この時は彼のこの一言に、どれだけの想いが詰まっていたのか、幼いAには知らなかった。
だが、日本とロシアなんて自分が想像していたよりはるかに遠かった。
『えっ！？どうして駄目なの！？』
『駄目よ！ここは日本なの、ロシアまで会いに行くなんて絶対駄目！！』
『そんな…』
母は、Aのロシア行きを猛烈に反対していた。お金はかかるし、遠いから駄目だと言うが、それだけが理由ではない気もした。
『何の為に引っ越しを繰り返していると思っているの…』
母はそんなことを呟いていたが、その時のAには届かなかった。
それでも諦めずにありったけのお小遣いを握りしめて外へ飛び出した。
駅のホームにいたおじさんにお金を見せて海外までの行き方を聞くと、困った顔をされた。
『あーお嬢ちゃん、これじゃあ海外には行けないんだよ。それにお嬢ちゃんまだ小さいでしょ。せめてお父さんお母さんの許しがないとねぇ』
目の前が真っ暗になった。
これでは、会いに行くなんて絶望的ではないか。
約束したのに。絶対に会いに行くって。
ベルナルドさんも、待っているって言ってくれたのに。
…………。
(…いや、でも…)
ベルナルドさんは忙しい。だからこそ、私のことを考える暇などないのではないか。
あの人は私なんかいなくても、寂しいなんて思ったりしないだろう。
だんだん悪い方に考えが進む。それは私の小さな頃からの癖だった。
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アルティメットカオス - はい。数話見たあとすぐにパスワード認証って出てきますね。 (2020年4月3日 8時) (
レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - アルティメットカオスさん» 大変申し訳ございません。パスワードは解除しているはずなのですが…まだ出てきますか？ (2020年4月3日 6時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
アルティメットカオス - この作品のシリーズ8がよくパスワード認証って出てくるのですが……なぜですか？ (2020年3月31日 20時) (レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます！この作品は夢主の成長も題材としているので、そうおっしゃっていただき、とても嬉しいです！完結に向けて頑張りますので、楽しんでいただけると幸いです。 (2020年3月29日 12時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - いよいよ10ですね!キャラクターとの会話は勿論、夢主さんがキャラと共に成長していく姿が見ていてとてもワクワクします!紅葉さんの作品が大好きです、これからも応援しています! (2020年3月28日 19時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2020年3月21日 1時
