嘘84 ページ34
.
「……Aさん。一つ、聞いてもいいですか」
「どうしたの?」
「どうして、俺の仕事場が分かったんです?」
「ああ、それは……ふふっ」
行為が終わって、シャワーを浴びて2人でベッドに寝転ぶ。さっきと違うのは、お互いに抱き合っているということ。
そんな中でふと思いついた疑問を問いかければ、なぜか答える前に笑みをこぼして。それが余計に俺の中で疑問を膨らませる。
「実はね、ジミン君がいなくなって部屋を整理してたの。そうしたら服の中から名刺が出てきて。ふふ、ジミン君も可愛いところあるんだなって」
「……まじか」
確かに服は置いてきたけど、まさか名刺まで置いてくるなんて。バカか、俺。ちゃんと確認しとけばよかった。
「でも何で偽名なんて……」
「だって、もしかしたら気付いちゃうかもしれないでしょ?ジミン君を驚かせようと思って」
「そんなわけ……まさか相手になるなんて思ってもいませんでしたし」
「ふふ。ジミン君もまだまだ子供だね。色んな可能性を考えられるようにならないと、社会でやっていけないよ?」
「……なんでもう社会の話になるんですか」
「ジミン君が好きでこの仕事をしてるんじゃないってことくらい分かるよ。何か事情があるんでしょ?今すぐ話してとは言わないよ。話せる時になったら話してくれればいいから。
それに、私たちもう恋人同士でしょ?」
恋人。その言葉がなんとも言えないくらい嬉しくて。にやけそうになる。
2歳年上で大人で、色っぽくてかっこいいAさん。
でもほんとは、弱くて脆くて、強がりな人。
そんなこの人が俺の恋人で彼女。こんなに幸せでいいのか。俺なんかが幸せになっていいのか。
きっとそれを聞けばこの人は当たり前だよ、って微笑みながら言ってくれるんだろう。
「……俺、いつかちゃんと働きます」
「うん」
「ちゃんと働いて、金も貯めて。それでいつか結婚しましょう。子供も作って、俺たち、家族として幸せに暮らしましょう?」
「……うんっ」
プロポーズみたいになったけど、それでもいいか。
俺を見つめるAさんを思いっきり抱き締めれば、すぐに背中に腕が回る。それでさえも幸せだと感じる。
俺、頑張ります。
.
942人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
閔(プロフ) - Bigloveさん» わぁ!ありがとうございます!(*^^*) 完結して日が経ったにも関わらず読んていただいて本当に嬉しいです… かなり大人な設定ですし、好みが別れるかなぁと思っていたので大好きだと言ってもらえて感動です… コメント、本当に励みになります。ありがとうこざいました! (2020年2月4日 22時) (レス) id: 4874e19f9b (このIDを非表示/違反報告)
Biglove - 一気読みしました!いやー、やっぱり閔ちゃんのお話、私大好きです!お話の構成がちゃんと成り立ってて分かりやすくて。ジミンちゃん目線で貫いてましたけど、物凄い良かったです! (2020年2月4日 21時) (レス) id: c56102b41d (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - 緋夏さん» 緋夏ちゃん!今回はちょい悪ジミンちゃんを書きたくて...ユンギさんはどうしてもかっこよくなっちゃうんですよね...笑 そして嘘もテーマなので裏の裏まで考えながら書いていて悩む部分も...本当にいつも応援ありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年8月30日 23時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
緋夏(プロフ) - 閔ちゃん!完結して時間経ってしまいましたが、完結おめでとうございます(´∇`)相変わらず素敵な文で最後まで綺麗なお話でした!ジミンちゃん、年下設定いいですね!癒されます。そしてユンギさんは安定のイケメン具合でした。本当に素敵!お疲れ様でした!! (2019年8月30日 23時) (レス) id: 1a4eb51f6c (このIDを非表示/違反報告)
閔(プロフ) - Agust dさん» ありがとうございます!ですよねえ...夢主ちゃん起きろ!って感じです...洗練されたジミンちゃんがこれからどうなるのか、ぜひぜひお楽しみに!暖かいコメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年8月12日 14時) (レス) id: 61c94025e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:閔 | 作成日時:2019年8月6日 22時