ごめん73 ページ23
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胸の奥の醜い感情をしまって、何とか言葉を絞り出す。
「にしても凄いね。なんで分かったの？
あんまり出さないようにしてたつもりなんだけど…」
チョン君は少し悲しそうな表情をした。だけどそれは一瞬のことで。
見間違いだったかも……
なんて、見て見ぬフリしかできない。
「俺は、貴女が思っている以上に貴女のことを見てるんですよ？
だから貴女が誰を目で追っているかなんてすぐ分かりました」
微笑みながら言うその姿は様になる。
だけど、その声は悲しみと苦しみで溢れてて。
今になって気付いた。
あぁ、私は彼を傷付けていたんだって。
好きな人が違う人を想っているのは辛い。私にだって分かるはずなのに。
恋は盲目、とよく言うけれど本当にそうかもしれない。……失恋したけど。
「…ごめんね」
あまりにもチョン君が悲しそうに空笑いをするので、いてもたってもいられなくなってチョン君の手を握った。
チョン君は驚いて私の方を見た。それもそうか。私からチョン君に触れるのは初めてだから。
「私、チョン君のこと何も考えてなかった。
向き合うって決めたんだけどなぁ。逆に逃げてたみたい。
私のこと、本当に大切にしてくれてるんだね。
ありがとう。今度こそちゃんとチョン君と向き合うから」
側から見れば変な会話だろう。
まさか、相手が自分を好きだと言葉にするとは思わなかった。
でも、今はそんなことはどうでも良かった。
ただ、チョン君に今の私の気持ちを知ってほしかった。
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作者名：閔
| 作成日時：2019年3月25日 13時
