君と暮らす日々【短編集】

ほうじ茶ラテ3 ページ1

「…まだ悠一さん来てないみたいだな」

ビルの地下駐車場で1人待つA
携帯の時計を見ると、丁度中村の仕事が終わる頃だった

「ちょっと早かったかな」

自分の方が先に終わったみたいで待ってる間
携帯ゲームで時間を潰す

「あ、ロミオ最終上限解放しなきゃ」

大好きな中村のキャラをニヤニヤしながら強化する他所から見たら変な人だ

「幸せにね、ロミオ」

ロミオとジュリエットの結婚式を見て物思いにふける

「結婚式か…いいなぁ…」

2人の幸せそうな所を見ると

「悠一さんのタキシードとか絶対かっこいい…」

白いタキシードを着ている中村を想像するとまた顔がニヤける

「普段黒しか着ないからなぁ」
「それ俺の事言ってる？」
「そうなんですよ！だからきっと白いタキシードが……って悠一さん！？」

声がする方へ向くと中村がいた

「タキシード…？」
「あ、いやなんでもないです！こっちの話です！」

すごい慌てながら首をふる

「…そっか、あ、これ買ってきた仕事お疲れ」

そう言って鞄から取り出したのは

「ほうじ茶ラテだぁ！ありがとうございます！」
「A、明日休みだろ？のんびりドライブしながら帰ろ」
「お、いいですね！」
「んじゃ、車までだけど」

ほら、と手を差し出す

「んふふ」
「そんな嬉しい？」
「嬉しいです！」

ニコニコしながら手を重ねて車まで歩いた

「んじゃ行きますか、寄り道するからな」
「ドライブデートだぁ」

Aはウキウキしながら乗り込む

「このほうじ茶ラテ美味しい〜」
「ちょっとちょうだい」
「え？」

飲んでいると中村にそう言われて少し戸惑っていると

「ダメ？」
「だ、だめじゃないです！」
「今信号赤だから」
「あ、はい」

Aが飲んでいたほうじ茶ラテを渡した

「うん、美味いなこれ」

はい、と信号が青に変わりAに返した

「(こ、これって…間接キスでは…)」

中村から受け取りちょっと飲めずにほうじ茶ラテを見つめたまま固まる

「(間接キスぐらいでって思ってる人！意外とこれドキドキするんだからね！)」
「A？どうした？」
「いや、なんにもないですよ？」

そう言いながらもドキドキ胸が高鳴る

「(キスするより恥ずかしいかも…)」

ふと頭の中で中村とキスしているのを思い出す

「(いや普通にキスしてる方が恥ずかしいな)」
「A」
「は、はい！」
「声裏がってるぞ」

もんもんと考えていたせいでふいに声をかけられ驚いて変な声が出る

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