[d!] その結末はいつも <短編シリアス> (ページ2)

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：　本なんか　|　茶ページ2

( you side ) ※ 病院パロ

" emさんと初めて出会ったのは、酷く蒸し暑いあの夏の日だった。 "

蝉がやけに主張してきた初夏、私は交通事故に巻き込まれて病院送りとなった。

いつも湿気が異常に高かった病室では、頭がぼぅっ、として気持ちが悪かった。

その日もじめっとした空気が私を取り囲んでいて病室の天井を見る他無かった。

だが、そんな中、私に優しく接してくれたのがemさんだった。

emさんは、優しい人だった。

いつも暇があれば本を読んでいるのだが、私を気の毒に思い、たくさん話し掛けてくれた。

映画が好きだった私は時々、映画の原作となった本を借りたり、その話題について話したりした。

おかげで気持ちも晴れ、emさんと充実した時間を過ごす事が出来た。

『 emさんって本当に本が好きだね。』

いつものように何気なく話し掛けた。

はずだった。

私は、その時のemさんの感情が分からなかった。

分からないままだったのに。

突然の事で目の前が真っ白になった。

今、看護師が放った言葉が何度も脳内に響いてきて吐きそうだった。

　 emさんが夕ヒんだなんて信じたくもなかった。

悔しい

悲しい

つらい

全てが私の心臓をえぐって、痛かった。

あの人はなぜ、私なんかにあんなにも優しくしてくれたんだろう。

" あの時 " 何を思っていたんだろう。

何か言いたげだったあの唇は、もう二度と開くことは無かった。

__________________ 私は、本なんか好きじゃない。

貴方と、

Aさんと一緒に映画が見たかった。